2022年05月24日

喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド  本論文

喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド  本論文

Albuterol–Budesonide Fixed-Dose Combination Rescue
Inhaler for Asthma MANDALA研究
[This article was published on May 15, 2022, at NEJM.org.]



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 喘息発作の治療に、短期作用β刺激薬(SABA)が主役です。
喘息発作は気管支平滑筋の痙攣が病態ですが、その根底には炎症が存在します。
よってSABAだけでは発作改善には限界があり、逆にSABAの使用頻度が喘息のコントロール
不良の指標ともなります。喘息のガイダンスでもあるGINAも、喘息発作のレスキューとして
SABAと吸入ステロイドの併用を勧めています。
SABAの中でもアルブテノール(サルタノール、ベネトリン)は世界で一番使用されていますし、
FDAに承認されている唯一のレスキューとしてのSABAです。
アストラゼネカのPT027(アルブテノール+ブデソニド)合剤の試験結果が雑誌NEJMに掲載
されています。


1) 中等症以上でコントロール不良の喘息患者のレスキューが対象です。
   12歳以上の患者、3,132名を3群に分けています。
   高容量群 (アルブテノール90μg+ブデソニド80μgを2回吸入)
   低用量群 (アルブテノール90μg+ブデソニド40μgを2回吸入)
   単独群  (アルブテノール90μgを2回吸入)
   期間中に一日に吸入を行った回数は3群とも同じで、1.5回よりも少ないようです。
   また吸入の反応により高容量群と低用量群の間では、個人の判断で変更が可能として
   います。
   4歳から11歳の年齢層では、低用量群と単独群だけで試験を行っています。
   主要転帰は、重症発作時でのレスキューから最初の発作までの時間です。

2) 結果
   97%が12歳以上で実施されています。
   重症発作のリスクは単独群と比較して高容量群が26%軽減(危険率は0.74)
   単独群と比較して低用量群では危険率は0.84でした。
   副反応は3群ともに同じでした。(アルブテノールの容量が同じのためでしょうか) 
 
3) 考察
   本試験はコロナ禍でも実施されました。
   小児の症例が少ないのが残念ですが、今後の研究が待たれます。

4) 結論
   重症の喘息増悪(発作)では、トータルでアルブテノール180μg+ブデソニド160μg
   の固定吸入が有効でした。 




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私見)
 従来より、急性増悪の場合にはサルタノールもしくはベネトリン吸入後にステロイド吸入
 を行っていましたが、合剤が発売になれば治療の選択肢は増えるので、私としては歓迎です。
 取り敢えずは、サルタノール+フルタイド、サルタノール+シンビコート、
 コンプレッサーによるベネトリン+パルミコートも治療戦略でしょうか。







PT027, a novel fixed-dose combination.pdf










posted by 斎賀一 at 20:54| 喘息・呼吸器・アレルギー