喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド 本論文
Albuterol–Budesonide Fixed-Dose Combination Rescue
Inhaler for Asthma MANDALA研究
[This article was published on May 15, 2022, at NEJM.org.]
Inhaler for Asthma MANDALA研究
[This article was published on May 15, 2022, at NEJM.org.]
喘息発作の治療に、短期作用β刺激薬(SABA)が主役です。
喘息発作は気管支平滑筋の痙攣が病態ですが、その根底には炎症が存在します。
よってSABAだけでは発作改善には限界があり、逆にSABAの使用頻度が喘息のコントロール
不良の指標ともなります。喘息のガイダンスでもあるGINAも、喘息発作のレスキューとして
SABAと吸入ステロイドの併用を勧めています。
SABAの中でもアルブテノール(サルタノール、ベネトリン)は世界で一番使用されていますし、
FDAに承認されている唯一のレスキューとしてのSABAです。
アストラゼネカのPT027(アルブテノール+ブデソニド)合剤の試験結果が雑誌NEJMに掲載
されています。
1) 中等症以上でコントロール不良の喘息患者のレスキューが対象です。
12歳以上の患者、3,132名を3群に分けています。
高容量群 (アルブテノール90μg+ブデソニド80μgを2回吸入)
低用量群 (アルブテノール90μg+ブデソニド40μgを2回吸入)
単独群 (アルブテノール90μgを2回吸入)
期間中に一日に吸入を行った回数は3群とも同じで、1.5回よりも少ないようです。
また吸入の反応により高容量群と低用量群の間では、個人の判断で変更が可能として
います。
4歳から11歳の年齢層では、低用量群と単独群だけで試験を行っています。
主要転帰は、重症発作時でのレスキューから最初の発作までの時間です。
2) 結果
97%が12歳以上で実施されています。
重症発作のリスクは単独群と比較して高容量群が26%軽減(危険率は0.74)
単独群と比較して低用量群では危険率は0.84でした。
副反応は3群ともに同じでした。(アルブテノールの容量が同じのためでしょうか)
3) 考察
本試験はコロナ禍でも実施されました。
小児の症例が少ないのが残念ですが、今後の研究が待たれます。
4) 結論
重症の喘息増悪(発作)では、トータルでアルブテノール180μg+ブデソニド160μg
の固定吸入が有効でした。
私見)
従来より、急性増悪の場合にはサルタノールもしくはベネトリン吸入後にステロイド吸入
を行っていましたが、合剤が発売になれば治療の選択肢は増えるので、私としては歓迎です。
取り敢えずは、サルタノール+フルタイド、サルタノール+シンビコート、
コンプレッサーによるベネトリン+パルミコートも治療戦略でしょうか。
PT027, a novel fixed-dose combination.pdf
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