2022年05月23日

喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド その1

喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド その1

 
 <院内勉強用>

 喘息の吸入治療薬の主役はアドエアとシムビコートです。
現在は脇役も活躍していますが、喘息の治療戦略は維持療法のコントローラと、急性治療の
レスキューです。アストラゼネカ社のシムビコートはコントローラとレスキューの両面に適応が
あり、本院でも頻用しています。
 今回そのアストラゼネカから新たなレスキューとして、短時間作用β刺激薬のアルブテノール
とステロイド薬のブデソニドの合剤の試験が、雑誌NEJMに発表されています。


混乱をしないために予備知識として

1) 短時間作用β刺激薬(SABA)のアルブテノールはアメリカでの用語で、日本では
   サルブタモールで商品名はサルタノール、又はベネトリンです。

2) アドエアとシムビコートは長時間作用β刺激薬(LABA)+ステロイド薬の合剤です。
   アドエアは、サルメテロール(商品名はセレベントでサルタノールではありません)
   +フルチカゾン(フルタイド)
   シムビコートは、ホルメテロール+ブデソニド(パルミコート)
   ホルメテロールは量を増やせばそれなりに効果が高まりますが、サルメテロールは量を
   増やしても効果は増加しません。
   ステロイド薬のフルチカゾンの方がブデソニドより作用が強力です。
   以上のことから、シムビコートは漸増することが可能であるため、レスキューとしても
   有効なのかもしれません。

3) SMART研究とSMART療法は、ある意味で真逆ですので注意が必要です。
   LABAのセレベントが発売になった時は、喘息治療の福音だと思いました。
   これがあったら、あのテレサテンも助けられたのにと残念に思いました。
   その後アメリカの黒人を中心にセレベントの有害事象が報告され、セレベントを使用する
   なら、必ず吸入ステロイドを併用しなくてはならないとのお達しが出ました。
   それがSMART研究です。
   それに呼応して合剤のアドエアが登場しました。
   一方でSMART療法とは、シムビコートがレスキューとしても適応があるとの報告があり、
   シムビコートは二刀流の活躍となりました。
   今回はレスキュー専門の合剤の発表です。

4) 喘息発作は津波のように2回襲ってくると言われています。
   1回目の発作はSABAで対応できますが、喘息は炎症のため2回目の発作に対してはステロ
   イド薬が必須です。
   そのため今回のSABA+ステロイド薬の合剤は、レスキューとして期待されます。






私見)
 本日はこれでタイムオーバーです。
 久しぶりに仲間と養老川にスケッチに出かけ、ゆったりとした気分になりました。
 明日は気合を入れて、本論文に関してブログ作成します。 








1 smart 研究.pdf

2 smart療法.pdf









posted by 斎賀一 at 19:17| 喘息・呼吸器・アレルギー