新型コロナ(long COVID)の神経症状
Neuropathology and virus in brain of SARS-CoV-2
infected non-human primates
infected non-human primates
長引くコロナ感染症状の主な原因として、血管の内皮細胞の機能不全が挙げられています。
特に神経病理所見として、虚血と炎症が若い患者さんに注目されています。
長引く神経症状として倦怠感、めまい、頭痛、認知機能の低下が数か月続く場合をlong COVID
と定義しています。
どのような神経病理所見が認められるかを実際に証明する事は、重症患者での死亡例で得た病理
解剖でしかありません。
今回、人間に近いサルでの実験結果が公表されています。
かなり専門的な内容なので、結論だけをまとめてブログします。
1) 8例のnonhuman model(さる、RMとAGMs)での実験では、コロナ感染をした群で
重篤な呼吸器症状を呈していない例を選んでいます。
主な神経症状は微小出血、微小血栓、脳の虚血が主体です。
免疫細胞の関与よりは炎症の分子マーカーが増加していました。
2) 障害は神経細胞とグリア細胞(特にアストロサイトとミクログリア)の両方に認められて
います。(アストロサイトは灰白質と白質の両方に存在し、原形質性と線維性の両方が
ありますが、何れもその突起は血管に纏わりついていて血管との関連性が重要視されて
います。)
障害部位は脳幹、小脳に多く認められています。
しかもその障害は非可逆性の可能性があります。
3) ウイルスのRNAは脳内には少量ですが、髄液中には認められていません。
4) 人体の剖検例の所見と本実験結果は、ほぼ同様の結果でした。
私見)
若い人の長引く神経症状として倦怠感、めまい、頭痛、認知機能の低下を把握するのは
患者さんも医療サイドもかなり困難が予想されますが、十分な慎重な問診が欠かせない
ようです。
Neuropathology and virus in brain of SARS-CoV-2 infected non-human primates.pdf
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