2022年05月09日

胆嚢ポリープ

胆嚢ポリープ

 
Longitudinal Ultrasound Assessment of Changes in Size and
Number of Incidentally Detected Gallbladder Polyps



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 最近、人間ドックで胆嚢ポリープを指摘され本院に来院された患者さんがいらっしゃいます。
以前のブログと新たな文献もありますので、参考にして下さい。


1) ヨーロッパにおけるガイドラインでは、経過観察によりポリープが2mm増加の場合に
   胆嚢摘出術を勧めていますが、本研究ではその考えはやや保守的として異論を展開して
   います。

2) 2010年1月1日から2020年12月30日までの研究です。
   対象者は肝がんサーベイランスです。
   9,683人の患者の内、753人(8%)に少なくとも1回のエコー検査でポリープを同定
   されています。更にその中の434人が複数回のエコー検査を実施しています。

3) 6mm以下が368例、7〜9mmが52例、10mm以上が14例でした。
   ポリープの数は9%で増加し、14%で減少しています。
   ポリープの大きさは10%で増加し、16%で減少、56%で変化はありませんでした。
   19例で胆嚢摘出術を実施されていますが、胆嚢癌はありませんでした。

4) 考察
   大腸ポリープとは異なり、胆嚢ポリープではシークエンス(ポリープから癌への移行)は
   稀で、しかも腫瘍性ポリープからの癌化は6%とされています。
   人間ドックや本院で見つかる胆嚢ポリープはほとんどがコレステリンポリープで、腫瘍性
   ではありません。
   アメリカ放射線学会では6mm以下のポリープは経過観察の必要はないとしていますが、
   7〜9mmの場合は年に1回の検査を勧めています。
   それでもポリープの増大に関しては、明白にコメントしていません。
   本研究でも胆嚢ポリープは数および大きさにおいて変動を認めており、自然史かもしれ
   ないとしています。






私見)
 取りあえず、日本でのガイドラインを下記に掲載します。

 





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胆嚢 原文.pdf

胆嚢ポリープ・文献より.pdf

胆嚢ポリープの予後・20年間.pdf













  
  
posted by 斎賀一 at 19:42| 消化器・PPI