コロナワクチン接種後の心筋炎
Myocarditis after Covid-19 mRNA Vaccination
ファイザーワクチン接種後の心筋炎について以前にブログしましたが、今回、雑誌NEJMに
心筋生検を含めた2例の報告がありました。
・ 症例1
45歳の女性。ウイルス感染の前駆症状はありません。
1回目のファイザーワクチンを接種して、10日目に呼吸苦と眩暈が生じています。
鼻咽頭のウイルス検査ではすべて陰性です。血清学的PCRでも、ウイルス感染を同定
されていません。
受診時に頻脈、心電図でST低下、トロポニン値上昇を認めています。
心エコーで駆出率が15〜20%に低下。冠動脈造影では著変なし。
心筋生検ではT細胞、マクロファージの心筋組織への浸潤を認めています。
治療により、症状発現から7日で駆出率が60%に回復して、退院しています。
・ 症例2
42歳男性です。モデルナワクチンを2回接種し、2週間後に呼吸苦と胸痛が出現しています。
ウイルス感染の前駆症状はありません。
頻脈と発熱で受診しています。心電図はST上昇、心エコーで駆出率が15%に低下。
冠動脈造影では著変ありません。心原性ショックを起こし、症状発現後3日で死亡しています。
病理解剖がなされています。
結論
2例とも劇症心筋炎の組織像です。コロナワクチン接種後の2週間以内に発生しています。
私見)
9月から新学期がスタートします。ワクチン接種も12歳までが対象となります。若い人への接種を
本院もすすめて参りますが、ワクチンの有効性のみが先行する事には、十分な注意が必要です。
心筋炎に対しては迅速な対応として、呼吸苦、胸痛、頻脈の症状に心電図、トロポニン、
簡易心エコーが必須です。
心不全の治療、methylprednisolone (1 g daily for 3 days)
1 Myocarditis after Covid-19 mRNA Vaccination.pdf
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