2021年07月13日

RSウイルスについて;Respiratory syncytial virus

RSウイルスについて;Respiratory syncytial virus




 RS感染症が猛威を振るっています。
Red bookとuptodateより纏めてみました。雑誌小児科からも抜粋します。
(詳細な文献提示は省略させていただきます。)


1) 多くの乳児は1歳までにRS感染症に罹患し、2歳までに少なくとも1回はRSウイルスに感染します。
   ほとんどが感冒症状の上気道感染で治りますが、20〜30%は下気道まで炎症が波及して、細気管
   支炎や肺炎となります。つまり鼻水、咳から始まりやがて多呼吸、喘鳴、陥没呼吸の症状に進展する
   場合があります。
   (RS感染症のすべてが喘鳴を呈するわけでなく、軽い感冒症状で済む場合も多いようです。)




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   特に新生児の場合は呼吸器症状がはっきりとせず、元気がなかったり(lethargy)、易刺激性、
   哺乳力低下ではじまり、急に無呼吸が出現するといった経過があります。
   細気管支炎を起こした乳幼児も、多くは入院を必要とせず2〜3日で軽快します。
   入院を要する乳幼児は、ほとんどが生後3か月以内です。

2) RS感染症と喘息との因果関係は明白ではありません。
   RS感染症は再感染するのが一般的です。年長児や成人で再感染は起きますが2度目の感染は
   軽症で済みます。
   50歳以下の健康な成人は上気道感染に留まります。 約11%が罹患します。
   50才以上の基礎疾患のある成人では、下気道感染の危険があります。
   6〜8%が入院を要し、5.5%は肺炎の可能性があります。
   60歳以上では、11%が急性呼吸不全に進展します。

3) 感染伝播は接触感染、飛沫感染です。
   ディスタンスを1〜2メートルとる必要があります。
   RSウイルスは表面に数時間生き残ります。
   手には30分以上います。 手洗い励行が必要となります。
   ウイルスは、11日間放出(shedding)します。

4) 潜伏期間は2〜8日です。

5) 北半球では秋から冬にかけて流行しますが、気候に鋭敏に反応するわけではありません。
   したがって、一年の中で8か月もずれ込むこともあります。
   亜熱帯や熱帯地方では雨季に流行します。 (日本は亜熱帯です。)
   今や季節性がなくなりかけています。





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6) 治療においては気管支拡張剤、ステロイド、吸入は効果が乏しい。

7) (本院でも診断は迅速診断キットを用いていますが、陽性ならほぼ100%間違いがありませんが、
   陰性でも20%は見逃している可能性があります。)



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私見)
 ほとんどのRS感染症は自然治癒で軽症です。
 しかし重症例の報告もあり、実地医家にとってはコロナと相まって厳しい季節です。
 そんなわけで発熱患者さんには待ち時間、動線、隔離と大変ご迷惑をお掛けしております。







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posted by 斎賀一 at 20:56| Comment(0) | 感染症・衛生
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