急性細気管支炎
最近、小児を中心とした急性細気管支炎が流行っています。
主にRSウイルスが原因ですが、その他の原因ウイルスも想定されます。
uptodateを中心に纏めてみました。
1) 急性細気管支炎は2歳以下に起き、一般的な鼻水などの感冒症状が2〜3日続いて下気道に炎症を
引き起こします。その結果、聴診上は喘鳴などの所見が認められます。(wheezing,crackles)
2) 病理所見は終末細気管支が主体で、その上皮が浮腫、過剰な粘液分泌から細気道の閉塞、無気肺
が生じます。生検や動物実験からは細気管支上皮の壊死、繊毛の崩壊(ciliary disruption)
リンパ球浸潤を認めています。
3) 原因ウイルスは第一にRSウイルスで次にライノウイルスです。
入院した乳幼児では1/3が2種類以上のウイルスに混合感染しています。
稀ながらマイコプラズマ症も合併している場合があります。
4) 原因ウイルスとして
・RSウイルス
秋から冬にかけて流行する。世界のどこでも発生しているが亜熱帯や熱帯では雨季に流行する。
・ライノウイルス
しばしば2つのウイルスの混合感染が認められている。
春と秋の二相性である。
・パラインフルエンザウイルス
クループ症候群が一般的である。
・ヒトメタニューモウイルス
他のウイルス感染と合併することが多い。
・インフルエンザウイルス
RSウイルスとの鑑別は困難
・アデノウィルス
下気道ばかりでなく他の器官に波及する。(disseminated)
5) 危険因子
・未熟児
・低出生体重児
・生後3か月以内
・基礎疾患
6) 一般的には自然治癒する。多くの例は入院が必要なく、4週間で軽快する。
上気道感染である鼻水が2~3日続き、その後に細気管支症状が出現する。そのピークは3〜5日で
徐々に軽快するが咳は1〜2週間続くことが多い。20%の人に1か月症状が続くこともある。
7) 合併症で注意する点は脱水、誤嚥性肺炎、無呼吸、中耳炎
しかし細菌感染の合併は1.2%で、抗生剤は一般的に必要ない。
従ってレントゲン検査は推奨していない。
発熱に関して、RSウイルスはアデノウィルスより低い。
8) 注意点
・多呼吸、陥没呼吸、サチュレーション
9) 鑑別診断
・recurrent viral-triggered wheezing
(所謂、小児ぜんそくで風邪の時に繰り返して喘鳴を起こす乳幼児がいます。)
・細菌性肺炎
私見)
治療に関しては気管支拡張薬、吸入、ステロイド薬、抗ロイコトリエン薬、
抗生剤など、すべてが有効とのはっきりしたエビデンスがないようです。
ほとんどの患児は外来で対応できますが、重症化に注意が必要となります。
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