2020年10月27日

成人の多臓器系炎症性症候群の症例報告  新型コロナ・CDCより

成人の多臓器系炎症性症候群の症例報告
 新型コロナ・CDCより
 
Case Series of Multisystem Inflammatory Syndrome in Adults Associated
With SARS-CoV-2 Infection − United Kingdom and United States,
March–August 2020



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 新型コロナ感染症による多臓器系炎症性症候群は、稀ながら小児では重症型で、また川崎病類似
病態のため注目されていますが、今回アメリカのCDCのMMWRから、成人の症例報告がありました。
小児例は検査ではCRP、D−ダイマー、フェリチンの上昇を認めていて、症状としてはショック、
心機能障害、腹痛、皮疹などの特徴があります。
 今回の成人例は、CDCに報告された9例、公表された7例、論文報告の11例の合計27例を調べて
います。


1) 初期症状
   24時間続く38度以上の発熱が12/16人に認められています。
   6/16人は、動悸又は胸痛を訴えています。
   16人全員に、何らかの心臓関連の所見がありました。
   (不整脈、トロポニン上昇、心エコーで左室又は右室機能障害)
   13/16人は、入院時に消化器症状がありました。
   5/16人は、やはり入院時に皮疹を認めています。
   3/16人に結膜炎、10/16人にCT所見があり、6/16人は胸水を伴います。

2) 考察
   新型コロナの感染時期と、多臓器系炎症性症候群発症の間隔は不明瞭です。
   つまり多臓器系炎症性症候群が感染初期の症状なのか、感染後に起こる症状なのかは明白では
   ありません。典型的な症例では、新型コロナ感染の症状発現後2〜3週間で多臓器系炎症性症候群
   が発生しています。
   しかし8/16人(つまり半数)は、多臓器系炎症性症候群出現前には新型コロナ感染症状を特定でき
   ませんでした。





 
私見)
 報告の16例を見ますと、多臓器系炎症性症候群は実地医家にとって、次の様にイメージする必要が
 ありそうです。

 ・新型コロナを疑い、検査して陽性ならば保健所に報告
  (その先は実地医家の領域ではない)
 ・発熱があるかないかに関わらず感冒症状に心疾患の所見があれば、新型コロナの多臓器系炎症性
  症候群を想定する。
 ・消化器症状がある初診患者は、簡易心エコー(腹部エコーでも可)を併せて行う。


 これほど診断に苦慮する感染症とは思いませんでした。







Case Series of Multisystem Inflammatory Syndrome in Adults Associated with SARS-CoV-2 Infection − United Kingdom and United States, March–August 2020 - コピー.pdf













posted by 斎賀一 at 16:36| Comment(0) | 感染症・衛生
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