入院における新型コロナに対するデキサメタゾンの効果
Dexamethasone in Hospitalized Patients
with Covid-19 − Preliminary Report
This article was published on July 17,2020, at NEJM.org
with Covid-19 − Preliminary Report
This article was published on July 17,2020, at NEJM.org
ステロイドを服用している患者さんにとって、新型コロナは現段階では十分に注意が必要な疾患です。
もしも罹患して、入院中にステロイドのデキサメタゾンの選択を求められた時、判断はどうすべきかの問いがブログでありました。
また最近では、日本でもデキサメタゾンの本疾患での適応を認めています。
雑誌NEJMのオンラインでその根拠となる論文が掲載されていましたので、簡単に要点を纏めてみま
した。
1) ウイルス性疾患において、従来よりステロイドを使用するとウイルスの増殖に繋がるので禁忌と
言われていますが、その反面ステロイドは最強の抗炎症作用があり、病状の進行を阻止します。
以前のSARS,MARSやインフルエンザなどのウイルス性疾患でステロイド使用すると、ウイルスの
クリアランス(排出)が遅延するため有害とされていましたが、今回の新型コロナ感染では、ウイルス
の複製(増殖)は病気の初期にピークとなり、その後減少すると言われています。
従って新型コロナ患者の重症化にはウイルスの複製は二次的な問題で、主たる病変は免疫病理学
的要因が関与しているものと想像されています。
今回のRECOVERY研究では、入院した患者で発症後7日以上治療を受けている患者は、炎症性
肺損傷が強いものと想定しての研究です。
2) 今回のRECOVERY研究では新型コロナで入院した2,104名がデキサメタゾンの治療を受け、
4,321名が通常の治療を行っています。
デキサメタゾン群では、デキサメタゾンを一日一回6mgを経口か経静脈で、最大10日間投与して
います。
3) 全体で28日以内の死亡率は、デキサメタゾン群で22.8%(482名)に対して、通常群では25.7%
(1,110名)でした。
さらに詳細に見てみますと、人工呼吸器を使用した群では死亡率に差があり、効果が出ています。
デキサメタゾン群では29.2%に対して、通常群では41.4%です。
酸素療法だけの群ではデキサメタゾン群が23.3%で、通常群は26.2%でした。
一方で呼吸支援を受けていない群ではデキサメタゾン群が17.8%で、通常群が14%と逆転して
います。
重症化の見られない軽症の場合では、デキサメタゾンの害(harm)がありそうです。
4) 日本でも同時に承認されたレムデシビルは入院患者の回復時間を短縮する事が確認されています
が、死亡率の低下には明白な結果が出ていません。
デキサメタゾンとレムデシビルは、適応患者と病気の時期により使い分ける必要があります。
私見)
お問い合わせに関しては、基礎疾患でプレドニンを服用していて万が一デキサメタゾンを追加しても
支障はないものと思います。
理由としては
・デキサメタゾンの使用は最大で10日以内
・デキサメタゾンとステロイドでは、力価と作用時間が異なります。
ラング・デール薬理学より
専門医は適切に漸減してくれるはずです。
【感染症・衛生の最新記事】
内容について、分かりやすく記述していただきよく理解致しました。まずは不安解消。
私以外にも、ステロイドを服用している方々も、もし新型コロナ感染症にり患した場合、デキサメタゾンの治療に不安感を持ち続けていた方々が少なからずいたと思います。そういう方々も、ぜひ、この表題のブログに立ち寄ってもらって、その不安感を解消してもらいたいと思います。改めて感謝です。
今できる事は、(感染が拡大している中で)基本を守り、三密を避ける、マスクの着用、なるべく不要不急な外出は控える、手洗いの励行など徹底して、感染リスクを低減し生活していきたいと思います。
新型コロナウィルスさんよ。早く、はるか宇宙に飛んでけー。