新型コロナによるニュー・ノーマルの選択
Choices for the “New Normal
”新型コロナによってもたらされると想像されるニュー・ノーマルの世界を展望した論文が、雑誌JAMAに
掲載されています。
1) 人間の遺伝子は30,000個あるのに、新型コロナの遺伝子はたったの15個です。
しかし、そのウイルスが人間社会に及ぼした影響は甚大です。
2) 新型コロナの研究、情報の獲得の早さは近来においても目を見張るものがあります。
しかし、そのスピードに慣れない医療関係者も多いのです。
それは今までの常識から離れ、また臨床家の経験則から導かれる勘ではなく、しっかりした手順が
必要となります。
3) アメリカでは11の医学の団体が協議して、その都度ガイドラインを作成し、それを報道機関に周知
して全国に行き渡るようにしています。
専門家が最も知りたいのは、皮肉にも新型コロナに関する専門的情報です。
(日本では首長が先を争って報道しているのとはえらい違いです。
日本の学会も連携してガイドラインを作成し、一般国民に分かりやすく報道してもらいたいと思い
ます。政府も専門家委員会だけに固執せず、広く意見の集約をして下さい。迅速さと集約性に劣り
ます。
長渕剛の歌を思い出します。「あなたが悪いわけではない。海の青さが深いから。」)
4) 医療従事者の自己防護服の欠乏から、その準備が必要です。
また医療従事者の安全と精神的ストレスからの解放も重要となります。
5) ヒポクラテスの時代は恐竜の様に化石となり、オンライン診療が患者にとっても有利な時代となる
でしょう。その改革が始まろうとしています。
6) 今後も色々なパンデミックの危険は発生します。
公衆衛生が最終的にその任務を全うできるだろうか?
7) 時代の不公平性が表面化します。
アメリカで黒人の死亡率が高いのは、情報が当初行き渡らなかったためです。
しかしその後の反応は、今までに経験しなかった迅速さでひろまりました。
ソーシャルディスタンス、マスク、都市封鎖などです。
これらの対策は、新薬やワクチンより社会全体では有効です。
新型コロナによって今までは見えなかった遠いヒマラヤが望めたように、地球という天体はその浄化
作用を自ら持っています。それが一時なのかはだれも分かりません。
社会から疎外された人々が、新型コロナの影響を強く受けてしまいます。
全ての人が思いやりと尊敬を受けなければなりません。
それに対する再分配が何時可能となるのでしょうか。
時代の流れがニュー・ノーマルを形作るのではないのです。それは社会の意志です。
社会がその意志で変わるのを、新型コロナウイルスは待ち続けます。
私見)
ニュー・ノーマルとは時の流れに身を任せるのでなく、全ての人の意志で決まる事としています。
時代に乗り遅れるのではなく、本院の皆さんの意志で決定しましょう。
Choices for the “New Normal”.pdf
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