2020年04月17日

安定冠動脈疾患の初期治療法の比較

安定冠動脈疾患の初期治療法の比較
 
Initial Invasive or Conservative
Strategy for Stable Coronary Disease
   N Engl J Med 2020;382:1395-407.
 


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 冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の治療目標は、発作の軽減とQOLの改善です。
これまでの研究では、薬剤コーティングのカテーテル治療 (冠動脈内ステント留置)であるPCIによって
施行後7カ月の緊急性の入院は減少しましたが、死亡率と心筋梗塞の発生は抑えられていません。 
 しかし、5年間で観察しますと効力は認められています。
多くの研究が軽症者も含めているため、本当の意味での有効性が期待される、中等度から重症例に
関しての明白なエビデンスがありませんでした。

 今回、中等度から重症例(画像診断を用いたストレステストで判定)で安定している冠動脈疾患に対して
のISCHEMIA研究が、雑誌NEJMに掲載されています。



纏めますと

1) 最初に侵襲的戦略(血管造影と可能であれば血行再建)と薬物療法を行う群と、最初に薬物療法
   のみによる保存的戦略を行い、薬物療法が失敗した場合に血管造影を行う群とを比較した研究
   です。
   全例が冠動脈CT血管造影法を施行しています。偽事例と狭窄が50%以上の重症例を除外する
   ためです。
   採用基準と除外基準に関しては、下記のPDFをご参照ください。

2) 主要転帰は、心血管系の原因による死亡、心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、蘇生された心停止に
   よる入院の複合としています。
   主な副次的転帰は、心血管系の原因による死亡または心筋梗塞としました。

3) 経過観察の平均は 3.2 年間で、主要転帰のイベントは侵襲的戦略群では 318 件
   保存的戦略群では 352 件発生した。
   累積イベント発生率は、6ヵ月の時点で侵襲的戦略群 5.3%、保存的戦略群 3.4%であり、5年の
   時点でそれぞれ 16.4%と 18.2%であった。
   治療による心筋梗塞発生(procedural)が侵襲的戦略群は6カ月の時点で多いが、経過と共に自然
   発生する心筋梗塞(non-procedural)は侵、襲的戦略群の方が保存的戦略群より少なくなる。

4) 中等度または重度の虚血を有する安定冠動脈疾患の患者において最初に侵襲的戦略を行う場合、
   最初に保存的戦略を行う場合と比較して、虚血性心血管イベントや全死因死亡のリスクを低下させる
   というエビデンスは、中央値 3.2 年間では認められなかった。      (一部、日本版コピペ)






私見)
 本研究は実地医家にとってはやや限定的です。
 中等度以上の冠動脈疾患に対しては、ステント治療後も薬物治療を施しつつ、十分に注意して管理
 しなくてはなりません。






冠動脈疾患における侵襲的治療と保存的治療との健康状態の転帰の比較.pdf










posted by 斎賀一 at 21:16| Comment(0) | 循環器
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