フィッツ・ヒュー・カーティス症候群
Fitz-Hugh–Curtis Syndrome
n engl j med 381;22 nejm.org November 28, 2019
n engl j med 381;22 nejm.org November 28, 2019
フィッツ・ヒュー・カーティス症候群とは、女性生殖器から進入した病原体により、骨盤内腔炎から肝周囲炎に至った感染症です。性行動を伴う年齢の女性に発症することが多く、クラミジア、次いで淋菌などによるものが多いが大腸菌群、嫌気性菌によるものにもみられます。エコーを含めた画像診断では、はっきりした所見が認められないことがあり、疑いで二次施設に紹介する事もあります。
内科診断書の鑑別には必ずと言っていいほど現れる病名です。
右上腹部痛が特徴ですが、直前の婦人科受診歴や下腹部痛は、本疾患を示唆する重要な病歴です。
しかし、FHCS発症の前後で骨盤腹膜炎の症状を呈さない症例が存在すること、腹部所見の割に血液検査所見が乏しいことが診断を難しくしています。
また、右上腹部痛は胆道系疾患などとの鑑別を要します。腹痛を主訴に一般内科外来を受診した若年女性において、右季肋部圧痛を呈した場合は常にFHCSを考慮し、 婦人科的な問診を加えることが診断に有用であると考えられます。
雑誌NEJMに説得力のある画像が載っていましたので掲載します。
症例は62歳の女性で、3か月前より右上腹部痛が間歇的にありました。それより約4か月前に激しい下腹部痛、帯下(化膿性)があり婦人科を受診、骨盤内感染症の診断を受けています。
腹部エコーで胆石を認めており、胆石発作の診断の基で腹腔鏡を実施、肝臓と腹壁にバイオリンの絃のような癒着を認めています。 (violin string-like adhesion)
本症例は胆石があったので、偶然診断出来た症例です。
女性で右上腹部痛を訴えている場合に胆石など他の疾患を除外した後、このフィッツ・ヒュー・カーティス症候群も鑑別する必要がありそうです。
本論文より.pdf
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