喘息患者の高血圧治療
Treatment of Hypertension in Patients with Asthma
N Engl J Med 2019;381:1046-57.
N Engl J Med 2019;381:1046-57.
高血圧と喘息は、全身性炎症疾患としても捉えられています。
つまり炎症性サイトカインの影響で、互いに疾患の進展と増悪が誘発されます。
雑誌NEJMに、基礎医学的な内容と実地の医療の問題が提起されていましたので、簡単にブログに
します。
1) インターロイキン6がCRPに関与して動脈硬化及び呼吸機能の1秒率の低下を引き起こす。
2) 気管支喘息はタイプ2−高炎症と、タイプ2−低炎症の二つのコードのタイプがあります。
このタイプU−低炎症は高齢、肥満、遅発性喘息、非アトピーに関連していますが高血圧にも関与
しているコードで、気管支喘息と高血圧を繋げる因子です。インターロイキン17も関連因子として
想定されています。これらのサイトカインが炎症を誘発し平滑筋を活性化して動脈硬化、高血圧や
喘息を悪化させます。
3) 高血圧と喘息の治療薬には総合的に注意が必要である。
・βブロッカー(β遮断薬)
心不全や心筋梗塞ではβブロッカーが用いられますが、選択的βブロッカーでは呼吸器系には
影響が少なく心配する必要は無い。しかし容量が増えると喘息の急性増悪に繋がる。
短期的にはβブロッカーが一秒率の低下を惹起する場合があるが、長期での選択的βブロッカーの使用
では呼吸機能には影響が少ない。
但し喘息がコントロールされている場合で、不安定の状態では注意が必要
(本院ではアーチスト、テノーミン、メインテートを処方しています。)
・降圧剤
降圧利尿薬とカルシウム拮抗薬は、喘息患者に使用可能であるがARBが最も適応がある。
喘息のコントローにも寄与しています。
尚、喘息でβ刺激剤を用いますと低カリウム血症に注意が必要ですが、降圧利尿薬を併用する場合
は特に慎重にしなくてはなりません。
またカルシウム拮抗薬は呼吸筋の弛緩に関与する可能性がありますが、実際は期待する程の効果
は無いとの事です。
・喘息治療薬のβ刺激剤
短期作用薬のSABAを頻回使用の際には、血圧に注意が必要となります。
(長期作用薬のLABAでは高血圧患者でも使用可能とされています。)
私見)
薬の相互作用も問題ですが、疾患間の関係も高齢化社会では重要な問題です。
シンプリ イズ ザ ベスト とはいかないようです。
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