2019年04月13日

軽〜中症の潰瘍性大腸炎治療のガイドライン

軽〜中症の潰瘍性大腸炎治療のガイドライン

American Gastroenterological Association Institute Guideline on
the Management of Mild-to-Moderate Ulcerative Colitis



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 最近アメリカの学会、AGAとACGの両方から潰瘍性大腸炎に関するガイドラインが発表に
なっています。
潰瘍性大腸炎の治療薬は、多種にわたり上市されており、進歩も著しい感じです。

先ずは、AGAのガイドラインからブログしてみます。
潰瘍性大腸炎の臨床的重症度に関しては軽、中、重症に分けていますが、下記のPDFを参照ください。


 1) 最初は軽症と診断されても、病状が進行する事が稀にある。
    40歳以下での発症、内視鏡により潰瘍が深い、消化管以外の症状の合併、
    炎症マーカー(CRP高値、低蛋白血症、白血球増多など)の所見、に注意が必要です。
    臨床家は常に治療のコントロールが適切か、病状が進展していないか、又、軽〜中症でも
    ステロイド治療を繰り返していないかに留意して治療方針の再検討をしなくてはいけない。

 2) 病変の広がりも重要で、左側病変とは脾曲部までとして、直腸炎(proctitis)は
    肛門管から15~20cm以内としています。

 3) 治療の中心は5-ASAです。
    5-ASAとは、古くからあるサラゾピリンとメサラジン(ペンタサ、アサコール、リアルダ)を
    言いますが、日本は全て5-ASAと言い、色々な剤型が開発されています。
  


 本論文では13の勧奨が声明されています。全て軽〜中症患者に対してです。



  1) 勧奨T
      サラゾピリンや、低用量のメサラジンよりも通常量のメサラジンが有効。
      通常量とはメサラジン(2~3gr/day)です。
      もしも、サラゾピリンでコントロールされていたり、関節痛を合併している場合や
      薬価を考慮するならば、サラゾピリンの2~4gr/dayも選択肢。

   
     (メサラジンの低用量とは2gr以下、通常量は2~3gr、高用量は3gr以上をいいます。
      緩解率は、通常量と高用量を比較しても0.93の有効率で殆ど差は無い。
      メサラジンはサラゾピリンと比較して明らかに優位である。
      サラゾピリンの危険率は1.27です。更に、サラゾピリンの方が副作用が多い。
      しかし、患者が関節リウマチ、関節炎を合併している場合は、関節症状を緩和する目的
      にもサラゾピリンは有効。)
 
  2) 勧奨U
      左側型には、経口5-ASAにメサラジン座薬を併用が良い。

   
     (経口薬と座薬を併用すると緩解率は明らかに増加する。危険率は0.68
      この方法はステロイド療法や免疫抑制薬への移行を避けられる。
      問題点は患者が座薬を好まない点と、メサラジンの総量が2gr以上の場合に、
      どの様に経口薬と座薬を振り分けるかはハッキリしたエビデンスはない。)

  3) 勧奨V
      通常量のメサラジンでコントロールが不十分の場合には、メサラジン3grに
      メサラジン座薬を追加が優位。
   
    
     (この方法は、ステロイド療法や免疫抑制療法への進展を避ける事ができる。
      しかし、腸管外病変、体重減少、発熱などの重症化が生じた場合は、ステロイド療法や
      免疫抑制療法を考慮したほうが良い。)

  4) 勧奨W
      メサラジンは1日数回服用よりも、まとめて1日1回の服用の方がアドヘアランス
      (服用遵守)に良く且つ効果は同等である。


      (私的にはやや異論があります。クラビットやアベロックスなどの抗菌薬、ビスフォス系
       などの骨粗鬆薬は、薬物動態やアドヘアランスよりも患者さんサイドの問題もある
       と認識しています。)

  5) 勧奨X   
       ブデソニドについて
       省略

  6) 勧奨Y
       直腸S字結腸型(proctosigmoiditis)や直腸炎型(proctitis)は、
       経口メサラジンよりも座薬か、注腸のメサラジンの方が有効。
       しかしエビデンスは低い。
   
       (しかし、どの程度有効かは不明であり、患者によっては座薬を好まない傾向である。
        その場合は、メサラジンの増量での経口投与の方が勝る。)
 
  7) 勧奨Z
       直腸S字結腸型(proctosigmoiditis)では、メサラジン注腸の方が
       ステロイド座薬や、注腸薬よりも優位。

  8) 勧奨[
       直腸型(proctitis)では、メサラジン座薬の方が経口薬よりも優位。

   
       (メサラジン座薬(1~1.5gr)の方が、経口薬よりも危険率0.44と優位。
        メサラジン座薬(0.5~1gr)の1回/1日か、隔日は、プラセーボより危険率が
        0.5と優位。)

  9) 勧奨\
       直腸S字結腸型(proctosigmoidis)や直腸型(proctitis)で、
       メサラジン座薬を好まない患者や、効果がない時はステロイド座薬も選択肢。

    
  以下省略、勧奨のリストを参照ください。



私見)
 従来の日本のガイドラインも掲載します。
 近々に新しいガイドラインと本院の治療戦略を纏めてみたいと思います。
  



日本の従来のガイドライン.pdf







  
posted by 斎賀一 at 17:52| Comment(0) | 消化器・PPI
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