2019年03月28日

ヘリコバクターピロリ菌感染症

ヘリコバクターピロリ菌感染症
 
Helicobacter pylori Infection
  n engl j med 380;12 nejm.org March 21, 2019



0328.PNG
    


 雑誌NEJMに症例に沿った総説(vignette)が載っていましたので纏めてみます。


1) 日本ではピロリ菌関連の萎縮性胃炎(本雑誌にはhyperplasiaと記載していますが?)では
   約8年間で3%の胃癌が発生している。

2) 貧困、低栄養、などと相まって、ピロリ菌は冠動脈疾患とも関連している。
   その他、胃疾患以外では、鉄欠乏性貧血、血小板減少症、胃MALTOMA が関連疾患として想定
   されている。 但しエビデンスは少ないとの事です。

3) 非侵襲的診断(胃カメラの生検以外)としては

   ・便ピロリ抗原検査 感度及び特異度は 92%
   ・尿素呼気検査 感度及び特異度は 95% です。

   アメリカの学会ACGにおいては優越は示していないが、費用の点で便ピロリ検査を推奨している。
   血液検査のピロリ菌IgG抗体検査は、感染率が低い地域では特異度は30%であり、また抗体は
   数年間陽性が持続するので、ピロリ菌感染の活動期を決定するには特異度が80%である。
   よって学会では血液検査は推奨していない。

4) 酸分泌抑制薬のPPIは抗生剤に影響は及ばさないが、ピロリ菌に対しては抑制的に作用するので、
   診断や除菌後の判定から30日以内の使用は避けるよう勧告している。
   Maastrichtガイドラインではたった2週間ではあるがPPI服用の中断を推奨しており、症状がある
   人にはH2ブロッカー(ガスターなど)を推奨している。

5) アメリカの学会では、ピロリ菌陽性の人全てに除菌を推奨している。
   最近の香港からの報告では、60歳以上の人にも除菌の効果があるとの事ですし、韓国からの報告
   でも約6年間の経過観察で、胃癌治療後の異時性胃癌発生(別の部位での胃癌発生)を抑制出来た
   との事です。(日本での報告とは異なりますがこの件に関しては私の以前のブログをご参照下さい。)

6) 治療に関しては下記のPDFのグラフをご参照下さい。
   地域による耐性菌の頻度により異なりますが、ビスマス系とクラリス系を比較すると、有効率は
   87.7% 対 83.2% と差はありません。
   ペニシリン系を服用する場合には、事前に皮膚テストを推奨しています。
   rifaburin(抗結核薬のリファンピシン)が新たな治療薬として注目されています。
   日本ではvonoprazan(タケキャブ)が優位と報告されています。
   トロントの学会では全て10〜14日処方を勧めていますが、ACG学会では現在、追跡調査中との
   事です。






私見)
 日本のガイドラインとは若干異なりますし、私の戦略ともやや違和感があります。私の以前のブログを
 ご参照下さい。
 そうは言ってもNEJMの見解には重みがあります。今後も充分に検討いたします。
 「今日の臨床サポート」より図表をお借りしました。ただし日本の血液検査を用いた検診戦略には、私は
 あまり積極的ではありません。
 個々の患者さんに対応して、ご説明いたします。





ピロリ菌.pdf















posted by 斎賀一 at 16:25| Comment(0) | 消化器・PPI
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