2018年11月24日

低炭水化物ダイエットの機序?

低炭水化物ダイエットの機序?
 
Effects of a low carbohydrate diet on energy
expenditure during weight loss maintenance:

 

1124.PNG




 糖質制限食は糖尿病治療においても主流になりつつあり、低炭水化物ダイエットは肥満にも有効との
潮流です。
今回雑誌BMJより、低炭水化物の食事の摂取では高炭水化物の食事より、運動量が同じでもカロリー
消費が多くなるとの報告がありました。この情報は色々なネットで紹介されていますが、medscapeでは
批判的な記事が掲載されており、本ブログでは両方を紹介します。


雑誌BMJの内容を纏めますと

1) 「炭水化物―インスリンモデル」を実証するための実験を、ボストン大学とハーバード大学の共同
   研究チームが行いました。
   先ず前置きとして解説しますと、以前は体脂肪の増加により高インスリン血症が誘発され、更に悪
   循環が進むとされていました。これがメタボリック症候群の本質とも言われています。
   一方、炭水化物インスリンモデルの概念では、先ず高インスリン血症があり、その結果、体脂肪の
   増加を招き空腹感を助長すると言った悪循環を想定しています。
   つまり血糖が食後に高くなり易い食事を摂ると(グリセミック指数が高い)急激にインスリンの分泌
   が多くなり体内脂肪が蓄積され、カロリーがため込まれてしまい空腹感が生ずるとの説です。
   もしも低炭水化物食ならば、インスリンは脂肪には使われず脳や筋肉に使われるので、消費エネル
   ギーが増加して、空腹には直結せず肥満に関与しないとの説です。
   前置きが長くなりましたが、この炭水化物インスリンモデル説を実証すべき研究を、本論文がして
   います。

2) 登録者はBMIが25以上の肥満者で、体重減少を指導されている18〜65歳の成人164名です。
   研究前の食事指導で(run-in diet)体重減少が12%(10%まではOK)まで達成され安定した人を
   対象にしています。
   run-in dietの指導は炭水化物を45%、脂肪を30%、たんぱく質を25%と設定し、生活様式から
   算定したエネルギーの60%減のダイエットを勧めています。
   研究がスタートして体重が変化しないように、摂取カロリーをその後も同一として、下記の3グループ
   に振り分けています。
    ・高炭水化物群は、炭水化物が60%、脂肪が20%、蛋白質が20%
    ・中炭水化物群は、炭水化物が40%、脂肪が40%、蛋白質が20%
    ・低炭水化物群は、炭水化物が20%、脂肪が60%、蛋白質が20%
   上記の食事を20週間(約5か月間で以前の研究より長期との事)経過観察して、脂肪燃焼率や運動
   量及び血液検査を実施しています。
   実際にはエネルギー消費を二重標識水(doubly labeled water)の測定で実施しています。
   ホルモン検査ではGhrelinとLeptin(前試験)を測定しました。
   下記にデザインを示します。




        1124-2.PNG

  

3) 結果は下記のグラフの如く、低炭水化物群ではたとえ1日の運動量に他の群と差が無くても多くの
   カロリーを消費していました。この事が低炭水化物ダイエットにより体重減少を維持できるとして
   います。つまり炭水化物インスリンモデル説を裏図ける結果でした。
    (結果は本論文を参照)


           1124-3.PNG 


   
4) グレリン(ghrelin) は、胃から産生されるペプチドホルモンで下垂体に働き、成長ホルモン(GH)
   分泌を促進し、更に視床下部に働いて食欲を増進させる働きをします。
   低炭水化物群ではこのグレリンが減少していました。
   つまり一般的な空腹ではグレリンが働いて、エネルギーの消費を減らし食欲を促進し脂肪の蓄積に
   働くが、本研究での低炭水化物群では、グレリンは他の群と同様の摂取カロリーで空腹でもないのに
   低下しており食欲を抑制していると説明しています。
   更にレプチン(leptin)も低炭水化物群で減少していました。
   レプチンは脂肪細胞から分泌され食欲を抑制しますが、レプチン抵抗性となると、逆に増加しており
   食欲が増進してしまうと言った逆現象が起きています。
   低炭水化物群ではレプチンが低下していると言う事は、レプチン抵抗性が是正されて、その後の体重
   増加のリバウンドを抑えていると論者は説明しています。
    (逆は真で若干混乱してしまいます。)






私見)
    なすがまま、そちら様のいいなり。  (最近の私のスタンス)





 Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure - コピー.pdf












posted by 斎賀一 at 16:54| Comment(0) | 糖尿病
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: