2018年04月10日

子供の頭部外傷と嘔吐

子供の頭部外傷と嘔吐
 
Vomiting With Head Trauma and Risk of Traumatic Brain Injury



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 小児の場合は、頭部打撲直後に嘔吐をする事が間々あります。
反応性とも言われており、他の症状がなければ経過観察も選択肢ですが、2回、3回と嘔吐を繰り返すようであれば、頭部の何らかの病変を視野に検査をしなくてはならないと認識しています。

 オーストラリアから、頭部外傷の際の嘔吐の臨床的意義について検討した論文が、pediatricsより発表になりました。
以前の私のブログもご参照ください。 (2017-2-25 と 2017-2-27 の3件)


1) 脳外傷の基本的診断はCTスキャンです。
   しかし小児、特に2歳以下の場合は脳の発達時期でもあり、CTによる放射線の暴露障害が懸念され
   ます。悪性腫瘍の頻度は頭部CTにより、生涯で1,000〜5,000人に1人の割合で発生するとしてい
   ます。よって、如何にCT検査をしないで危険予測ができるかが主要テーマで、今までも幾多の論文や
   ガイドラインがでています。
   嘔吐だけでは予測が出来ませんが、一般的には3回以上か、又は増悪する場合を危険因子として
   いるようです。
   (PECARNとCHALICEが有名です。この事も以前のブログで紹介していますが改めてUPTODATE
    から引用してPDF化しました。)

2) オーストラリアの10施設で、2011~2014年にかけて、18歳以下の頭部外傷者19,920名を対象に
   研究されています。

3) 臨床的診断(ciTBI)とCT診断(TBI-CT)に分けて統計を出しています。
   勿論この二つには乖離があり、TBI-CTの方が多くなります。
   (臨床的だけでは見落とす事があり、経過観察が重要である事を示唆しています。)

4) 嘔吐は17%に認められましたが、その殆どが2歳以下で、72.2%です。
   ciTBIは172名で、76名に嘔吐がありました。 (44.2%)
   TBI-CTは285名で、123名に嘔吐がありました。 (43.2%)

5) 嘔吐だけの症状の場合はci-TBIでたったの1例のみで、TBI-CTでは2例だけでした。  
   嘔吐とその他の症状があるかが重要です。
   ciTBIでの嘔吐と組み合わせると、頭蓋骨骨折の危険因子は80.1、精神的変調は2.4、
   頭痛は2.3、行動異常は1.86
   TBI-CTでの嘔吐との組み合わせでは、頭蓋骨骨折の危険因子は112.96、頭痛は2.55、
   行動異常は1.83でした。

6) 嘔吐と随伴症状がある場合は、2日間の経過観察か入院を勧めています。
   しかし、嘔吐だけの場合は直ぐにCTを撮るのでなく、適切な経過観察が大事だと結論付けています。


         0410-2.PNG

  
  嘔吐と随伴する症状の危険率を上の表よりご参照ください。
  再度下記のPDFをご参照ください。





私見)
 嘔吐が2回以下の場合は、注意して随伴症状を診察しなくてはなりません。
 3回以上の嘔吐や随伴症状があれば、2次施設への紹介が必須です。






Vomiting With Head Trauma and Risk of Traumatic Brain Injury _ Articles _ Pe.pdf

頭部外傷の本論文.pdf

私のブログより.pdf

頭部外傷 UPTODATEより.pdf














posted by 斎賀一 at 20:35| Comment(0) | 小児科
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