2017年05月09日

癌の治療中における急性腎障害

癌の治療中における急性腎障害

n engl j med 376;18 nejm.org May 4, 2017
 


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最近、急性腎不全の用語の代わりに、急性腎障害と言う病名を用いる事になったようです。(それぞれの
区別もあるので下記にPDFを掲載しました。)高齢化社会になり、また疾患や治療内容も変化しています。
ドクターサロンにも詳しく記載されていますので参照してください。



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                                 薬局薬剤師ブログ より



 今回、NEJMより癌の治療中の急性腎障害についての総説が出ましたので、まとめてみました。


 1) 癌の症状が顕在化している場合は、54%にまで急性腎障害の病態を呈する。

 2) 血液関連の悪性腫瘍は60%
    腫瘍細胞が腎臓に循環して(infilt)起る事は数パンセントと稀で、その他にも様々な要因(浸潤、
    圧迫)があるようです。
    高血圧があり側腹部痛と血尿を伴っている場合は、急性腎障害を疑う。

 3) 多発性骨髄腫は20〜50%
     腫瘍が産生する蛋白質(free light-chain)が尿細管を閉塞することが原因
     高カルシウム血症、高尿酸血症も尿細管障害を引き起こす。

 4) 腎癌の手術後
    腎臓を全摘すると急性腎障害の率が増加

 5) 腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)
    腫瘍そのものが原因な事もあるが、抗がん剤により腫瘍細胞が破壊され、様々な物質が癌細胞
    から放出されて腎障害を誘発する。
    その他にも高カリウム血症、高リン血症、高尿酸血症、低カルシウム血症
    などが関与する。

 6) 高カルシウム血症の関与
    特に肺の扁平上皮癌では20%が起こる。

 7) 抗がん剤は腎臓の色々な部位に作用して急性腎障害を引き起こす。



            0509-4.PNG



8)予後
  あるデータによると60日の生存率は14%と低い。
  よって早期の診断と、透析の実施の判断を患者と相談しなくてはならない。




私見)
 筆者も述べていますが、急性腎障害を呈している場合に抗がん剤が唯一有効なこともあり、その兼ね
 合いが難しいようです。
 症状が顕在し且つ抗がん剤治療を行っている患者さんに対しては、電解質、尿酸等を含めた腎機能を
 十分に観察しなくてはならないと肝に銘じました。




急性腎障害診療の進歩.pdf

癌患者における腎障害 onconephrology.pdf

薬局薬剤師ブログ.pdf

診断基準.pdf












posted by 斎賀一 at 21:23| Comment(2) | 癌関係
この記事へのコメント
先生、最近体力がなくなってきてるのを感じてきてるのですが...(*_*)

握力も弱くなっちゃってるのか、一昨日は大袋のふりかけを蒔き散らし、昨日は焼き肉バラ蒔いちゃって(ToT)

今日は蒔かないぞ〜と思った矢先に油揚げをばら蒔いて(>_<)
Posted by at 2017年05月10日 21:52
笑い話のようですが、これはノンフィクションです(^_^;)
Posted by at 2017年05月10日 21:53