2型糖尿病の血圧強化療法
Intensive Blood-Pressure Control in Patients with Type 2 Diabetes
[This article was published on November 16, 2024, at NEJM.org.]
[This article was published on November 16, 2024, at NEJM.org.]
15年前に同じ雑誌のNEJMから、同様の研究のACCORDスタディが発表になっています。
今回、中国から同様の方法でスタディが発表されています。
BPROADスタディと命名されています。
2型糖尿病では心血管疾患の合併が多く、生命予後に重大な影響を及ぼします。
血圧のコントロールは、本患者のリスクを軽減できる大事な因子です。
1) 50歳以上の2型糖尿病患者が対象です。
血圧の目標を120以下とした強化療法群と、140以下にした標準療法群の2群に分けて
5年間のランダマイズ試験です。
主要転帰は非死亡の脳卒中、非死亡の心筋梗塞、心不全、心血管系の死亡です。
2) 結果
12,821人(強化療法群が6,414人で標準療法群が6,407人)が登録しています。
2019年2月から2021年12月までの登録期間です。45%が女性
平均年齢は63.8歳です。
1年後の到達血圧は、強化療法群では121.6mmHgで、標準療法群では133.2mmHg
でした。平均経過観察期間は4.2年です。
主要転帰の結果は、強化療法群が393人(1.65/100人/年)で、
標準療法群が492人(2.09/100人/年)でした。リスク比は0.79です。
重篤な副作用は両群で同じでしたが、症候性の低血圧と低カリウム血症は強化療法群の
方が多かったです。
3) 考察
(ACCORD試験では有意差がありませんでしたが、本試験では強化療法のベネフィット
がありました。その理由を述べています。)
・本試験では年齢が若く、かつ心血管疾患を有する人を主に登録したACCORD試験とは
異なり、一般的なポピュレーションを対象にしている。
・登録人数が本試験の方が多い。
・経過観察期間が本試験の方が長い。
・ACCORD試験では、血圧管理と糖尿病管理が介入し合っている。
ACCORD試験のサブ解析では、標準的な糖尿病治療群での血圧の強化療法では明らか
に差が出ている。
本試験の48か月後の糖尿病コントロールのA1cは7.6%でしたが、ACCORD試験の
標準的な糖尿病コントロール群でのA1cも7.5%と、ほぼ同じである。
・本試験の二次転帰の脳卒中では強化療法群が1.19/100人/年で、
標準療法群が1.5/100人/年でした。
中国では心血管疾患の中で脳卒中が第一のため、強化療法のベネフィットが大きい。
4) 結論
2型糖尿病では、強化療法の方が明らかに心血管疾患の発生を抑制していました。
私見)
World journalの寸評では、本試験の副作用の症候性低血圧の頻度が少なすぎるとしています。
何はともあれ、糖尿病患者さんには高血圧治療は大事で、出来るだけ下げた方が良いかも
しれません。
ACCORD試験の日本版を下記に掲載します。
1 糖尿病における強化血圧コントロール.pdf
糖尿病患者の目標血圧は.pdf
糖尿病患者の高血圧治療に関して_.pdf
降圧目標は120以下か?.pdf
血圧の強化療法と標準療法の比較試験.pdf
U型糖尿病の危険因子の解析.pdf