軽症脳梗塞とTIAに対する二剤抗血小板療法の効果
Duration of Benefit and Risk of Dual Antiplatelet Therapy up to 72 Hours
After Mild Ischemic Stroke and Transient Ischemic Attack
After Mild Ischemic Stroke and Transient Ischemic Attack
<短 報>
軽症の脳梗塞と一過性脳虚血発作(TIA)に対して、発症72時間以内の2剤の抗血小板療法
(アスピリン-プラビックス)が推奨されていますが、いつまで2剤を続けるのかは不明確
でした。
INSPIREA研究の後解析として、中国からの報告です。
(INSPIREA研究は以前にブログでも紹介しました。NEJMの資料を併せてブログします。)
勿論、本研究では心房細動は除外しています。
1) 中国の222病院での調査です。
72時間以内に2剤併用をした6,100人を、その後も21日間継続します。
さらにその後の22〜90日間は、プラビックス単独に切り替える群とスタディの最初から
90日間、アスピリン単独を継続する群とに分けて調べました。
(結局、2剤併用を21日間継続する群と、アスピリン単独群の比較です。)
主要転帰は90日後の虚血性脳卒中再発と、出血以外の死亡です。
主要リスクとしては、中等度以上の出血です。
2) 結論
6,100人を21日間、併用群とアスピリン単独群に、3,050人づつ振り分けました。
平均年齢は65歳、64.2%が男性
アスピリン単独群と比較して、併用群は絶対的リスク減少率が、
1週目では1.42%、2週目が0.49%、3週目が0.29%でした。
中等度以上の出血のリスクは、最初の3週間を調べていますが、
内訳は1週間目が0.05%、2週目が0.10%、3週目が0.18%でした。
(この結果は、2剤併用の出血リスクが治療期間に比例して増加することや、特に
90日間のフォローアップで、21日以降の二剤併用が再発抑制に貢献しないことを示唆
しています。)
3) 結論
発症後72時間以内の2剤併用療法は、最初の1週間は効果があるが2週間以降の経過では
効果はあるものの限定的です。また効果は出血のリスクを上回ると言え、そのリスクは
増加傾向にあります。
NEJMのINSPIREA研究の内容も下記に掲載します。
(本試験ではアトロバスタチンを加えた2×2です。 NEJMより)
(21日以降の2剤併用の効果を90日後に判定していますが、Aグラフでは21日以降も
両群とも平行線で推移し、結局は併用群の方が発生率の抑制となっています。
Bグラフの出血のリスクは、併用群の方がやや増加で推移しています。 NEJMより)
私見)
以前の私のブログもご参照ください。
対象患者さんは、本院では少ないと思っています。
TIA並びに脳梗塞の二次予防に関しては、後日ブログします。
TIA 原文.pdf
_斎賀医院壁新聞.pdf