インフルエンザワクチン・ガイドライン 2024-2025 CDCより
Prevention and Control of Seasonal Influenza withVaccines:
Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices
− United States, 2024–25 Influenza Season
Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices
− United States, 2024–25 Influenza Season
1) 序論
全体的にインフルエンザワクチンの効果は38%といわれています。
A型(H1N1)が62%、A型(H3N2)が22%、B型が50%です。
2) ワクチン接種のタイミング
ワクチン1回目の接種は、外来受診時の機会で9〜10月が理想的とされています。
残念ながら、インフルエンザのシーズン中にワクチン効果は減弱します。
だからと言ってブスター効果を期待しての2回接種は勧めていません。
そのため65歳以上の人と妊娠の初期と中期の人は、早期の接種(8月)を避けるべきです。
生後6か月から8歳までの小児は2回接種が必要となりますので、可能な限り早期に1回目
接種を勧めます。
A型(H3N2)が効果の減弱が早いです。また高齢者の方も減弱が早い傾向です。
但し減弱に関するデータは、バイアスが掛かっていますので注意が必要です。
3) 小児のインフルエンザワクチンの間隔は、少なくとも4週間を開けるべきです。
妊婦に関しては何時でも(any time)接種をすべきですが、妊娠後期の場合は出来るだけ
早期の接種を勧めます。
それは新生児にも抗体が胎盤を通過して、ワクチンの効果があるからです。
65歳以上の高齢者には、高用量のワクチンを勧めます。
(日本ではありません)
前回、接種後6週間以内にギランバレー症候群を起こした既往がある場合は、今回の接種
には注意が必要です。
しかしこの場合でも、ワクチンのリスクよりベネフィットが勝ると考えています。
卵アレルギーのある人も全てインフルエンザワクチンを接種することが出来、事前に何ら
かの検査は必要ないとしています。
(この点に関しては下記に記載)
インフルエンザワクチンには卵成分ばかりでなく、多数の成分が入っています。
従って他のワクチン同様に、接種時にはアナフィラキシー反応の対応を準備しておくこと
は当然です。
海外旅行の場合は、出発の2週間前までには接種を完了しておくべきです。
4) フルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)は、他のワクチンと同等の効果がある
として推奨しています。(以前の私のブログ参照)
個人的解説
(アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、高齢者(65歳以上)の免疫反応が弱くなる
傾向があることから、通常のインフルエンザワクチンよりも高用量の「high dose」
インフルエンザワクチンを推奨しています。
この高用量ワクチンは、通常のワクチンよりも抗原(ウイルスの成分)が多く含まれており、
より強い免疫反応を引き出すことを目的としています。
日本では「high dose」インフルエンザワクチンはまだ導入されていないため、65歳以上の
高齢者が通常のインフルエンザワクチンを接種することになります。
ただし、日本で高齢者が2回接種を受けるという方法は、標準的な推奨事項ではありません。
インフルエンザワクチンの2回接種は、一般的には免疫システムがまだ発達していない子ども
(特に初めて接種する場合)に対して行われます。
不活化ワクチンIIV3(3価ワクチン)は、多くの場合従来の卵ベースの製造方法を使用して
います。このため、卵アレルギーを持つ人、特に重度のアレルギーを持つ人にとっては禁忌と
されることがあるのです。
アメリカの不活化ワクチンIIV4(4価ワクチン)は、卵ベースの製造方法を使うものもありま
すが、近年は卵を使わない製造方法(例えば細胞培養ベースや組換え型)も増えています。
このため、卵アレルギーを持つ人でも使用できるワクチンが存在し、ガイドラインでもIIV4の
選択肢が増えています。
卵アレルギーに関して、IIV3とIIV4のガイドラインが異なるのは、製造方法や含まれる卵タン
パク質の量が異なるためです。
近年では卵アレルギーのある人に対応するため、卵を使用しないワクチンが増えており、
IIV4がより安全な選択肢として、推奨されることが多くなっています。
しかし、残念ながら日本では使用されている不活化ワクチンIIV4は卵ベースで製造されて
います。従ってCDCのガイドラインと日本とは異なり、卵アレルギーが重度にある場合(アナ
フィラキシー反応)では全てのワクチンが禁忌となります。)
私見)
小児は早めに1回目を、高齢者はややゆっくりとでしょうか。
2024–25 Influenza Season _ MMWR.pdf