糖尿病治療薬・GLP-1の内視鏡検査における注意
effects of glucagon-like peptide 1 receptor on gastrointestinal endoscopy
本院のGLP-1はリベルザス、ゾルトファイ、オゼンピックです。
GLP-1薬は胃の運動を抑制するため、経口薬のリベルザスは朝食30分前服用の指示があります。
稀に嘔気の副作用を訴える患者さんもおります。
GLP-1の常用者では、胃内視鏡検査で胃の内容物が滞留していることも想像されます。
論文がありましたのでブログします。
1) 2024年5月までの集計したメタ解析です。
主要転帰は胃内容物の滞留(RGC)です。
二次転帰は胃カメラの中断と再検および誤嚥などの副反応です。
13のスタディより84,065人が対象です。
2) 結果
GLP-1服用群では明らかにRGCが高率でした。オッズ比は5.56です。
調整オッズ比でも4.20でした。糖尿病患者でのオッズ比は2.60とやはり高率です。
胃内視鏡検査の中断のオッズ比は5.13で、再検率は2.19です。
3) 考察
胃内容物と言っても、液体か食物残差かによって異なります。
正常でも胃からは2〜3リットルの胃液が分泌されます。この液体は胃カメラでの吸引で
問題なく解決されます。検査前の絶食が12時間ではあまり効果的ではありませんでした。
この事は症例数の問題もあり研究の限界でもあり、今後の研究が待たれます。
しかし論者はGLP-1薬の中断ではなく、検査前の絶食時間の延長と、固形物でなく液状
の食事を勧めています。
現に下部消化器検査との併用時には、検査食を摂取しているためにオッズ比は低下して
います。
私見)
GLP-1薬を使用している人、特に糖尿病患者さんには前日の夕食は7時までに終了し、内容も
軽食を勧める必要がありそうです。
勿論、水分の補給は滞りなく勧める事も併せ指導する事が大事です。
下記にGLP-1についてのブログを掲載します。
本論文.pdf
大腸ファイバーのGLP-作動薬の影響.pdf
糖尿病治療薬GLP-1作動薬と胆嚢疾患.pdf
GLP-1作動薬について.pdf
SGLT-2阻害薬とGLP-1作動薬の比較.pdf