心房細動の脈拍コントロールにジゴキシンとβブロッカーは同等の効果?
Consumer wearable devices for evaluation of heart rate control using
digoxin versus beta-blockers: the RATE-AF randomized trial
digoxin versus beta-blockers: the RATE-AF randomized trial
心房細動は下記の分類がされています。
・発作性心房細動は持続時間が1週間未満で、自然にまたは介入により正常洞調律に復帰する
心房細動である。再発することがある。
・持続性心房細動は、1週間以上持続する心房細動である。
・長期持続性心房細動は1年間以上持続するが、洞調律に復帰する可能性がまだ残っている。
・永続性心房細動は、洞調律に戻すことができない。(洞調律への復帰を試みないという決定
が下された患者も、この用語の範疇に含まれる)
今回、この高齢者の永続性心房細動における心拍数コントロール(rate control)に関する
論文が出ていましたのでブログします。
但し対象例が少人数でもあり、本論文はスマホを利用したウェアラブルデバイスの評価が主体
のため、要略を主にブログします。
・RATE-AF試験(永続性心房細動における心拍数コントロール療法の評価)は、ジゴキシンと
βブロッカーの有効性と副作用を比較しています。
一般的なウェアラブルデバイス(スマホに連動したリストバンド)を使用して、心拍数の
コントロールを連続的に監視し評価しました。
・永続性心房細動を有する患者で複数の併存疾患があり、心不全を伴う高齢者を対象にして
います。53人が登録しています。平均年齢75.6歳で40%が女性です。20週間のデータです。
・主要転帰は、ウェアラブルデバイスで測定された心拍数コントロールの有効性。
二次転帰は、副作用、生活の質、患者の満足度です。
・両群ともに十分な心拍数コントロールを達成しましたが、コントロールの方法は異なって
いました。安静時、身体活動後、高い身体活動レベル後(週に30000歩以上)においても
両群の脈拍コントロールは同等でした。
また2つの薬の副作用プロファイルには違いがあり、それが患者の好みや生活の質に影響を
与えました。
・結論
ジゴキシンとベータブロッカーの両群が、永続性心房細動において有効な心拍数コントロール
を提供することが、安静時にも身体活動後においても同等に示しました。
しかし、治療の選択は個々の患者の特性、併存疾患、および薬物の副作用に対する患者の好み
に依存する可能性があります。
ウェアラブルデバイスの使用により、心拍数コントロールに関する連続的かつリアルタイムの
データが提供され、AF患者の治療効果を監視するための新しい実用的なアプローチです。
私見)
心拍コントロールにジギタリスは適していないと認識しています。
特に活動時には無効ともされています。
ジギタリスが無効な理由としては、
ジギタリスは心臓の収縮力を増強する効果がありますが、急性の不整脈発作や頻脈の制御
には即効性が不足しています。
心房細動では限界があり、ジギタリスは主に心臓の収縮を助ける薬であり、心房細動のような
不整脈では、心房と心室の間の電気的伝導を減少させるために使われることが多いですが、
その効果は限定的です。
ただ本論文では心不全の高齢者が対象のため、その有効性があるかもしれません。
もっぱら本論文の趣旨は、スマホを利用したデバイスの有効性です。
本院も持続血糖測定と心拍測定に、スマホを取り入れていく予定です。
下記にデバイスのアクセスを掲載します。
https://smartwatch-blog.com/about-fitbit-charge-6/30510/
heart rate control using digoxin versus.pdf
心房細動ガイドライン・2023ACC_AHA.pdf