潜因性脳梗塞におけるエリキュースの効果
Anticoagulation vs. Antiplatelet Therapy for Cryptogenic Stroke
and Atrial Cardiopathy
and Atrial Cardiopathy
<短 報>
潜因性脳梗塞とは原因不明の脳梗塞の事で、一般的には心房細動がなく起きた塞栓源不明
脳塞栓症の事を指します。
雑誌JAMAに、抗凝固薬のエリキュースと抗血小板薬との比較が載っていましたのでブログ
します。
cryptogenic stroke(潜因性脳梗塞)の本論文の定義は、心房細動は認められないが心房に病変が
あると思われるatrial cardiopathyを対象にしています。
心房病変の基準は
・心電図でV1のP波が5000μV以上 ・pro-BNPが250以上
・心エコー検査で左房径3cm/m2以上(左房径を体表面積で割っています。下記参照)として
います。
1) 2018年2月1日より2023年2月28日までの3,745人を集計し、1,100人が登録され最終的
には1,015人が対象です。経過観察は平均で1.8年です。平均年齢68.0歳、
女性が54.3%です。
エリキュース群507人は、2.5mgと5.0mg錠一日2回服用です。
アスピリン群508人は、81mg錠一日1回服用です。
2) 主要転帰は脳梗塞の再発です。本研究がランダマイズされてから、心房細動の発生例は
研究に取り入れています。
副反応の転帰は症状のある脳出血、他の重篤な出血としています。
3) 結果
脳梗塞の再発はエリキュース群で40人(4.4%)、アスピリン群で40人(4.4%)で
危険率は1.00でした。
脳出血はエリキュース群で0人、アスピリン群で7人(年間発生は0.7%)です。
他の重篤な出血はエリキュース群で5人、アスピリン群5人で危険率は1.02でした。
以前の研究と異なり脳出血がアスピリン群で若干多いのは、本研究のイベントが少数の
ための偶然としています。(そんなことを言ったら身も蓋もないです。)
4) 結論
エリキュースはアスピリンと比較して、心房細動以外で原因不明の脳梗塞再発に対する
予防効果は同じでした。
私見)
偶然とはいえエリキュースの方が脳出血の発生がなく、本研究では後出しの心房細動も入って
いることより、何らかの左房病変が推定されればエリキュースの選択もありと思っています。
https://www.calc-site.com/healths/bsa
本論文.pdf