2023年06月28日

聴診器のアルコール消毒

聴診器のアルコール消毒

Hospital Physicians’ Stethoscopes:
Bacterial Contamination After a Simple Cleaning Protocol



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 院内感染防止のために、患者さんを診察するごとに聴診器のアルコール消毒は必要ですが、
アメリカでは、それを実施している臨床家は少ないと指摘する論文が掲載されています。


1) 個々の患者を診察後に聴診器の表面、診察着、手の細菌検査を行いました。
   20%の臨床家のみが、聴診器の消毒を実施していませんでした。

2) 聴診器表面の汚染を調べました。聴診器を白衣から直接出した場合は汚染率が50%、
   一人の患者を診療後の汚染率は37%に対して、アルコール消毒後の汚染率は0%でした。
   一日に少なくとも3回聴診器を消毒すると、直接白衣から取り出した場合と比較して、
   17%対58%と低下します。






私見)
 聴診器や院内のアルコール消毒はコロナ時代を経てニューノーマルになりつつあり、いい傾向
 かもしれません。







聴診器.pdf




posted by 斎賀一 at 18:21| 感染症・衛生

2023年06月27日

キウイフルーツは便秘に有効

キウイフルーツは便秘に有効

Consumption of 2 Green Kiwifruits Daily Improves
Constipation and Abdominal Comfort



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 以前のブログでも紹介しましたが、キウイは自然食品の中で患者さんの満足度も高く、
便秘に有効との論文が、また見つかりましたので紹介します。


1) 健康人63人、機能性便秘60人、過敏性腸症候群の便秘型61人が対象です。
   キウイを2個/日群、サイリウム(オオバコ)を7.5gr/日群を4週間続け、4週間の
   ウオッシュアウトの後に、キウイとサイリウムを反対にして4週間経過観察をしています。




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2) 結果
   キウイは1週間での便通が1.5回増加しました。
   機能性便秘が1.53、過敏性腸症候群の便秘型が1.73でした。
   副反応はありませんでした。




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3) 考察
   キウイの食物繊維が水分を蓄えて便量を増加させます。この事が便を柔らかくし、
   便通を増加させます。
   その他として成分のraphidesがムチンを産生に変化し便通を整えます。
   便量が増加するのはCTで証明されています。
   本試験で期間を4週にしたのは、生理との関係との事です。






私見)
 私は酸味のある果物は苦手ですが、再度挑戦してみたいと思います。






Consumption_of_2_Green_Kiwifruits.pdf

キウイフルーツは便秘に有効 斎賀医院壁新聞_.pdf










posted by 斎賀一 at 17:52| 消化器・PPI

2023年06月26日

高齢の糖尿病患者に対するHbA1cの目標値

高齢の糖尿病患者に対するHbA1cの目標値

A National Physician Survey of Deintensifying Diabetes Medications
for Older Adults With Type 2 Diabetes



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 雑誌Diabetes Careによりますと、アメリカの多くの臨床家は、高齢者の糖尿病患者に
必要な時に、適切な治療の緩和をしていないとの調査結果を示しています。


1) アメリカの学会ADAは、65歳以上の糖尿病患者に対しては比較的健康な状態では
   HbA1cは7.0〜7.5が適切で、多疾患を合併している場合は8.0以下を目標と定めて
   います。重症の基礎疾患があり、寿命との関係が問題になっている患者には特段の
   HbA1cを設定せず、高血糖と低血糖の症状を回避する治療をすべきとしています。
  
2) 本調査では70歳の糖尿病患者の目標値を設定し、3グループに分けて調べました。
   @健康な女性はHbA1cが6.3%
   A心疾患又は慢性腎臓病を有する男性はHbA1cが7.3%
   B進行性の認知症の女性はHbA1cが7.7%、以上の3グループに分けています。

3) 結果は
   ・ガイドラインとは異なり、AとBグループに対して、60%の医師が緩和せずに
    そのまま積極的な従来の治療を続けています。
   ・癌の転移、透析、ホスピスの緩和医療など、新たな疾患が生じても臨床家の5人に
    1人は治療の変更をしていません。
   ・AとBの患者に対して約半数の臨床家は、ガイドラインに沿わない形でHbA1cを
    従来通りに低めに設定しています。
   ・以上の結果は一般内科も専門医も同じ傾向でした。







私見)
 以前の私のブログでも高齢者のHbA1cに関して紹介しましたが、70歳以上の糖尿病患者さん
 にはHbA1cばかりでなく、ホリスティックな医療が必要な様です。





糖尿病 高齢者 本論文.pdf













posted by 斎賀一 at 18:46| 糖尿病