2023年05月20日

糖尿病患者に解熱鎮痛薬は注意

糖尿病患者に解熱鎮痛薬は注意

<短 報>
 Heart Failure Following Anti-Inflammatory Medications
in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus


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 糖尿病は腎機能と心不全の危険因子です。解熱鎮痛薬そのものが腎機能低下、体液貯留、
心不全の悪化に関与します。
糖尿病と解熱鎮痛薬との関連性を調べた論文がデンマークからあります。


1) 1998年から2021年に糖尿病と診断され、且つ以前に心不全、関節リウマチ、120日間
   解熱鎮痛薬を服用した既往歴のない人が対象です。
   331,189名が登録されています。平均年齢は62歳。
   観察期間中に23,308名(7%)が心不全で入院しています。
   期間中に少なくとも1回は解熱鎮痛薬を服用した人は、52,990人(16%)でした。
   解熱鎮痛薬服用期間は29日以内として、心不全で入院との関連性を調べました。

2) 結果
   解熱鎮痛薬を比較的短期間服用で心不全入院の危険率は、1.43です。
   特に80歳以上での危険率は1.78
   糖尿病治療薬が1剤以下で、糖尿病のコントロール不良(A1cが高い人)の場合、
   危険率は1.68です。
   以前に解熱鎮痛薬の服用がなく初めて使用した人では、2.71と高い傾向でした。

3) 結論
   高齢者で糖尿病のコントロール不良で初めて解熱鎮痛薬を服用する場合には、特に
   注意が必要となります。







私見)
  心血管疾患に解熱鎮痛薬(NSAIDs)の服用には以前より注意勧告が出ていますが、
  糖尿病の場合にも、やはりナイキサンが無難でしょうか。









心不全 NSAIDs.pdf








posted by 斎賀一 at 16:46| 糖尿病