2023年05月01日

NT-proBNP検査は心房細動と脳卒中の予測因子

NT-proBNP検査は心房細動と脳卒中の予測因子

Effects of Systematic Atrial Fibrillation Screening According to
N-Terminal Pro-B-Type Natriuretic Peptide
: a Secondary Analysis of the randomized LOOP Study



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 以前発表されたLoop研究(下記のPDF参照)の事後解析です。
Loop研究では心房細動検出のために埋込み型ループレコーダーを装着しても、心房細動の
検出は高まったが、脳卒中、全身性塞栓症の減少にはつながらなかったとの報告でした。
以前に私のブログでも紹介しましたが、BNPは心房細動の予測因子と言われています。
当然ながら心房細動があれば、脳卒中の発症が増加します。


1) 70〜90歳の未だ心房細動を発症していないで(AF-naïve)、脳卒中のリスク
   (高血圧、糖尿病、心不全、脳卒中の既往)が1以上の人が対象です。
   6,004人が登録しています。埋込み型ループレコーダーを使用しスクリーニングした
   ループ群と、通常の治療群を1対3に割り振って調べています。
   心房細動は6分以上続いた場合を診断し、抗凝固薬を処方します。
   最終的には5,819名が対象となり、平均年齢は74.7歳でした。
   ベースラインのNT-proBNPの値は125です。

2) 結論
   ループ群と通常群ともにNT-proBNPが平均以上に亢進していれば、
   心房細動のリスクは、各群とも1.84、2.79と増加します。
   脳卒中のリスクも1.21、1.60と増加しています。






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            (SEは全身の血栓症です。)



  NT-proBNPが亢進していなければ、両群共にリスク減には繋がっていません。
  また全死亡率の減少には両群共にNT-proBNPのサブグループにおいて関与できません
  でした。








私見)
 脳卒中のリスク(CHADSスコアー)を参考にNT-proBNPをリスク因子として捉える事も
 大事な様です。









1 本論文 loop.pdf

3 CHADスコアー.pdf

4 心不全におけるpro-BNP検査.pdf

5 心房細動の予測因子.pdf

6 BNP 予測因子.pdf











posted by 斎賀一 at 19:32| 循環器