好酸球性食道炎・胃と腸の特集より
胃と腸 第53巻第3号2018年3月
雑誌の胃と腸に特集がありましたのでコピペしてブログします。
・序説 好酸球性食道炎の疾患概念の変遷 春間賢氏
一般に好酸球性食道炎(EoE)は粘膜下層や筋層に著しい好酸球浸潤とともに線維化を来す
ため食道運動機能の低下、嚥下障害を来し進行すると狭窄となる進行性疾忠である。本邦での
EoEの診断基準は、基本的に欧米の診断基準に準じている。しかし、内視鏡所見と食道生検に
よる好酸球浸潤の個数は基準を満たすが、自覚症状がない症例が本邦では多く発見されており、
広義にはそれらの症例が含まれて報告されていることもある。EoEは近年増加しつつある新しい
疾患であり、その病態はまだまだ不明の点が多い。
・好酸球性食道炎の病理診断 藤原美奈子氏
他の好酸球浸潤を伴う食道疾患に比べて、EoEの好酸球上皮内浸潤はひときわ著明であり、
脱穎粒所見や好酸球性微小膿蕩の所見はEoEに特徴的であると考えられる。著明な好酸球浸潤を
食道上皮に認めた場合、好酸球性胃腸炎との鑑別のために胃や十二指腸など他の消化管粘膜の
生検は必須と考える。
(病理所見も上記のように複合的な所見が大事で、単に好酸球の浸潤のみで診断するのは注意が
必要だと思っています。)
・好酸球性食道炎の画像診断 浅野直喜氏
好酸球性食道炎はつかえ感や嚥下障害などの自覚症状を引き起こす疾患で、食物性アレルギー
であると考えられている。
EoEの現在の診断基準では症状があることが必須項目となっている。しかしながら、EoEに特徴的
な内視鏡像を呈し、生検病理組織標本で好酸球浸潤を認めながらも自覚症状を欠く症例も存在し
これらの取り扱いが今後課題となると考えられる。たとえ自覚症状がない症例であっても、食道
粘膜への好酸球浸潤と持続する炎症により、食道粘膜下層の線維化が引き起こされ、最終的には
食道内腔の狭窄を来すおそれがある。そのような不可逆的な変化が生じる前に治療介入すること
が望ましいと考えられるが、自覚症状が必須となっている現在の診断基準では、必然的に治療
介入は不可能ということになってしまう。
(基本的な所見は輪状溝ですが、診断基準にもありますが縦走溝と白斑の所見は確定診断と
なります。狭窄まで進行する例があり注意が必要です。)
私見)
実地医家の偏見的な見解ですが、好酸球性食道炎は未だ稀な疾患で、好酸球性胃腸症との
鑑別が大事です。私としては食物アレルギーとの関係は乏しい印象です。
当然ながら牛乳の除去を試してみる事は必要です。好酸球は組織の修復過程で現れますので、
好酸球の浸潤のみでの診断には注意が必要と思っています。
嚥下障害等の症状があれば検査が必要ですが。