2023年04月11日

アルコールの種類と尿酸値

アルコールの種類と尿酸値

Differences in the Association Between Alcoholic Beverage Type
and Serum Urate Levels Using Standardized Ethanol Content
 

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 日本発の聖路加国際病院の研究論文が、雑誌JAMAに掲載されています。
エタノールは尿酸産生の成分を有しており、また腎の尿細管からの尿酸排出を減少させます。


1) 対象者は20歳以上の78,153人です。  平均年齢は47.6歳
   2012年10月1日より2021年10月31日までの登録者です。
   アルコールの種類はビール、酒、焼酎、ワイン、ウイスキーです。
   エタノール20grを基準にしています。
   ビール500ml、酒167ml、焼酎100ml、ワイン208ml、ウイスキー62.7mlとなります。
   習慣飲酒者は58.8%です。

2) 結論
   ビールが主体の飲酒者は尿酸値が高めでした。ワインが主体の飲酒者は中等度です。
   酒主体の飲酒者は、尿酸との関連性が最も低いです。

3) 考察
   男性においてはビールとウイスキーが尿酸値が高く、女性の場合はビールが一番高い
   傾向です。男女共に酒が主体の飲酒者は最も尿酸上昇は低く、ビールは酒の2〜5倍
   上昇を認めています。
   女性においてウイスキーで高い関係が認められないのは、そもそもウイスキーを大量に
   飲酒する人が少ないからと推測しています。
   ビールが一番プリン体を有しています。しかもカロリーも一番高いです。
   ワインは抗酸化作用のポリフェノールが多く含まれています。
   一方で、酒も抗酸化作用のフェルラ酸を含んでいます。
   腸内細菌叢とアルコールとの関連性も指摘されています。ビールがこの腸内細菌叢を
   変化させます。
   ウイスキーにはプリン体は少量です。ウイスキーは短期間ですが尿酸を低下させるとの
   論文もあり、今後の研究が待たれます。また遺伝子レベルでの研究も必要です。






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私見)
 アルコールの種類に関わらず、多量に飲酒すれば尿酸が上昇します。
 ビールは特に注意が必要とし、日本初の論文としても、酒なら良いとは勧められないよう
 ですが...。








尿酸 アルコール.pdf










posted by 斎賀一 at 19:01| 泌尿器・腎臓・前立腺