2023年04月03日

心不全(HFpEF)にもエクササイズが必要

心不全(HFpEF)にもエクササイズが必要

 Supervised Exercise Training for Chronic Heart Failure
With Preserved Ejection Fraction



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 心不全の患者さんには、運動特に階段の昇降や坂道の歩行には注意を呼び掛けていましが、
下肢の筋力低下は却って心臓の負担を増すため、適時エクササイズを勧めていました。
 今回Circulationより、安定しているHFpEF患者には監視下において運動を進めるべきという
メタ解析の論文が出ています。


1) HFpEFの患者はその原因から病態にかけて様々で、個々により異なっています。
   しかし、運動(エクササイズ)は多方面(pleiotropic effect)で効果が認められて
   います。






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2) 基本的には運動によりpeak V̇o2を測定する事ですが、全てのスタディでは行って
   いません。HFpEFの場合には運動による適応能力の向上、つまり筋力の強化が一番
   関与しているものと考えられます。
   HFpEFでは多くが高齢者、肥満、フレイルの状態のため、QOLが障害されています。

3) エクササイズのSETを実施し、ある研究ではQOLの改善が認められていませんし、また
   心血管疾患の改善もありませんでした。しかし上の図のように総合的には効果を示して
   います。

4) 強めのエクササイズは却って心血管疾患を誘発し、動悸、身体不快感、低血糖も生ずる
   危険がありますが、安定しているHFpEF患者では中高年の患者でも安全に行うことが
   できます。最近の研究では短期的でなく、12か月の経過で効果を示しています。
   最近のガイドラインでは、中程度の強化運動を150分/週(30分を週5回)
   及び強化運動を週2回勧めています。




  
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私見)
 心不全の患者さんは臨床的にもかなりの幅があります。
 運動は全ての人に必要ですが、安全と便宜性を考えて本院ではウォーキングを30分間、
 週に5回を勧めます。








HFpEF 運動.pdf











posted by 斎賀一 at 20:40| Comment(1) | 循環器