2023年04月22日

静脈血栓塞栓症の弾性ストッキングの効果

静脈血栓塞栓症の弾性ストッキングの効果

Is it necessary to wear compression stockings and how long should they be
worn for preventing post thrombotic syndrome? A meta-analysis of
randomized controlled trials



50422.PNG



 静脈血栓塞栓症は重要な心血管疾患の一つです。
その三分の二は深部静脈血栓症の状態です。血栓症の発症後1〜2年間は注意が必要となります。
発症後の治療は抗凝固薬、運動、そして弾性ストッキングの着用です。
弾性ストッキングは費用が掛からない代わりに、生活の快適さにはやや難点があります。
静脈血栓塞栓症後の弾性ストッキングの効果について、メタ解析の論文が掲載されています。


1) メタ解析は、2022年11月23日までの論文を対象にしています。
   深部静脈血栓症の診断後、血栓症に対する弾性ストッキングの効果を調べました。

2) 全体的に血栓症の症状軽減に対しては危険率が0.73と効果的ですが、深部静脈血栓症の
   再発、重症化、死亡率に関しては、弾性ストッキングの効果は認められませんでした。

3) ストッキングの使用期間においては1年以内と2年以内とは差がなく、ストッキングの圧に
   関しても、25mgHgと35mgHgとでは差がありませんでした。
   (本院では27hPaを勧めています。下記に変換のサイトを掲載します。)



  変換 水銀柱ミリメートル 宛先 ヘクト パスカル (mmHg → hPa) (convertlive.com)

    

4) メタ解析の論文には制限があり、良質な論文が今後待たれますが、弾性ストッキングの
   着用は1年以内が妥当との事です。





  
私見)
 本院でも稀に肺塞栓症の患者さんが受診します。
 夏の時期は弾性ストッキングの着用は難儀ですが、1年間頑張ればよいとすれば耐えられる
 かもしれません。







本論文.pdf

弾性ストッキングは圧迫圧.pdf










posted by 斎賀一 at 16:39| 循環器

2023年04月20日

ヨーグルトは更年期の体重増加に予防効果あり

ヨーグルトは更年期の体重増加に予防効果あり
 <短 報>

Dairy Foods, Weight Change, and Risk of Obesity During
The Menopausal Transition



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 更年期における肥満予防で、ヨーグルトに効果があるとの前向き研究がありました。
加えてヨーグルトを多く摂取すると、生活も活動的になるとの事です。
 更年期においては、ホルモンのアンバランスより体重増加を呈しますが、乳製品に関しては
これまでその効果は賛否が分かれていました。ヨーグルトに関しての結論の様です。


1) 116,429人の看護師が参加しています。25〜42歳(平均年齢45.8歳)で1989年から
   統計を取っています。平均BMIは25.0です。2年ごとのアンケートになっています。
   ヨーグルトは12年間の平均です。
   癌患者、糖尿病、心血管疾患は除外しています。
   12年間自己申告の報告を受けています。
   主要転帰は更年期周辺で12年間の体重増加です。

2) 1週間に2人前の量のヨーグルトを摂取した人は、1か月に1人前の量の摂取者と比べて
   体重は31%減でした。
   但し、1日に2人前以上のヨーグルトを摂取した人は1人前以下の人と比べて、体重減量の
   効果はたったの12%でした。






私見)
 私としましては、生活の活動性亢進に関心があるのですが ...。










ヨーグルト.pdf











posted by 斎賀一 at 13:31| その他

2023年04月19日

お茶(tea)は直腸―結腸癌(CRC)の予防

お茶(tea)は直腸―結腸癌(CRC)の予防

<短 報>
Flavonoid intake and survival after diagnosis of colorectal cancer:
A prospective study in two US cohorts



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 フラボノイド(flavonoid)は、植物に広く存在するポリフェノールの一種で、植物において
色素や防御物質としての役割を持っています。フラボノイドには、カテキン、フラバノン、
イソフラボン、フラバノール、アントシアニンなど、多くの種類があります。
これらは豊富な抗酸化物質であるとともに、血管拡張作用や免疫力を向上させる作用などが
あるとされ、健康維持や疾病予防に役立つことが期待されています。
フラボノイドは、柑橘類、ワイン、紅茶、ココア、赤ワイン、ベリーなど多くの食品に含まれて
います。
その中でも、フラバン-3-オール(flavan-3-ol、フラバノール)類は、2-フェニル-3,4-
ジヒドロ-2H-クロメン-3-オール骨格を有するフラボノイドの一群です。
代表的なカテキンやカテキンガラートがあります。紅茶や緑茶にはカテキンが含まれます。
癌の遺伝子的なカスケードを、フラボノイドは阻止するとされています。

 今回、フラボノイドを含むteaがCRCを予防するとの論文が掲載されています。


1) 直腸―結腸癌のステージT〜Vと診断された2,552人を対象に、フラボノイド摂取との
   関係を調べています。対象者として、31,026人/年を前向き研究で行っています。
   1,689人が死亡し、その中で327人がCRCで死亡しています。
   全フラボノイドの摂取量は、CRCおよび全死亡率の低下には関係していませんでした。
   しかし、フラボノイドの中のフラバン-3-オールの摂取量との関連性は認められました。
   CRCの死亡率のリスクは0.83
   全死亡率のリスクは0.91と低下しています。

2) 結論
   一日にお茶(tea)を1cup飲むことでCRCのリスクが0.87低下に繋がりました。
   フラバン-3-オール以外のフラボノイドは、予防の関連性に乏しい結果です。
   少ない量のteaでも効果があるとの結論です。







私見)
 亡くなった西部邁氏が言っていました。
 「ジョギングをする年寄りをタクシーに乗って見かけると、そこまでして長生きがしたいのか
  と思うんですよ。私はタクシーの中で、死ねとつぶやきますよ。」

 そうなんですよ! 私はそこまでして一日でも長生きがしたいんです。
 だからジョギングとヨーグルトと日本茶を、怨念の如く嗜んでいます。
 ...凡人には長生きしかありませんから。







お茶 結腸癌.pdf









posted by 斎賀一 at 18:52| 消化器・PPI