多発嚢胞腎
What Is Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease?
Autosomal dominant polycystic kidney disease is the most common genetic
cause of kidney failure
Autosomal dominant polycystic kidney disease is the most common genetic
cause of kidney failure
「常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)は、最も多い遺伝性腎疾患であり、
70歳までに約半数が末期腎不全に至る。両側腎臓に、多数の囊胞が進行性に発生・
増大し、さらに高血圧や、肝囊胞、脳動脈瘤などを合併します。
末期腎不全に至る前でも、囊胞感染や脳動脈瘤破裂など、致死的な合併症を呈する
ことがあり、その早期診断と対策の重要性が、喫緊の課題として認識されている。
常染色体劣性多発性囊胞腎(ADPKD)の頻度は、出生10,000〜40,000人に1例と
推測され、新生児期に症候を示す。
現在では、生後早期の適切な管理と、末期腎不全治療の進歩により、重症肺低形成
を伴う新生児以外は、長期生存が可能になっている。」
(全文、ガイドラインより引用)
今回、雑誌JAMAより患者さん用の小論文が掲載されています。本院でも、本疾患の患者さんが多く来院されており、参考までにブログしました。
1) 常染色体劣性多発性囊胞腎(ADPKD)は、両親の何れかが疾患を有して
いると、50%遺伝する疾患です。しかし、15%は両親から遺伝しない
変異から発症しています。
2) 嚢胞は、腎臓以外にも肝臓、膵臓、ヘルニアにも認められ、稀に
9〜12%で脳動脈瘤を合併します。
3) 症状は、初期には認められませんが、多くの患者さんは高血圧を
併発します。
嚢胞が増大するにしたがって、腹痛、膨満感、血尿、尿路感染症、
腎感染症、腎結石が発症します。腎機能低下により、腎不全から
透析に至る場合は50%と言われていますが、50歳前にも進行する
事もあります。
4) 診断は、超音波検査が有効です。
5) 危険因子
同じ遺伝子を持っていても、その臨床経過は異なります。嚢胞の増大
による、腎機能の低下が作用します。
6) 治療
血圧の管理が腎機能の進展を遅らせ、最重要となります。
体重管理、運動、水分の補給、一日5gr以下の食塩の厳格な制限、禁煙、
ブルフェンなどの鎮痛解熱剤の制限。
薬剤として、サムスカがあります。
7) 家族歴に本疾患のある小児は、定期的なスクリーニング検査が必要
となります。
嚢胞腎 JAMA.pdf