1型糖尿病にもSGLT-2iとGLP-1RAの併用は効果的
Glucagon-like peptide-1 agonists combined with sodiumglucose
cotransporter-2 inhibitors reduce weight in type 1diabetes
cotransporter-2 inhibitors reduce weight in type 1diabetes
1型糖尿病は内因性インスリンの分泌が低下しており、インスリン療法が基本の病態です。
従って、GLP-1RAは適応外と認識しておりました。
今回SGLT-2iとGLP-1RAの併用を、1型糖尿病に行った論文が掲載されています。
インスリン療法は糖尿病治療の主流ですが、低血糖と体重増加が懸念されます。
2型糖尿病ではSGLT-2iとGLP-1RAが、現在では主要な治療薬となっています。
GLP-1RAは血糖値に依存してインスリンの分泌を促し、グルカゴンの分泌も抑制します。
また食欲の抑制効果もあります。
SGLT-2iは腎臓の尿細管での糖の再吸収を抑制し、インスリンの作用とは無関係で尿糖を
増加し、低血糖を起こさずに血糖を低下させます。
また体重の減少、心筋梗塞、心不全に対しても有効です。
しかし当初より、両者の併用は糖尿病ケトアシドーシスを誘発しないか懸念されていました。
1) 本論文では、対象の1型糖尿病は内因性インスリンが枯渇していることをCPR測定で
確認しています。
インスリン療法を行っている1型糖尿病患者296名を登録しています。
コントロール群(インスリン療法)が80名、SGLT-2iが94名、GLP-1RAが82名、
両者併用が40名です。
治療開始から1年間を経過観察し、体重とHbA1cの変化を見ています。
2) 結果
(下記のグラフをご参照ください。)
GLP-1RAとSGLT-2iは、体重減少とHgA1cの改善にともに効果がありましたが、更に
その併用は効果が増大しています。低血糖を含めた副反応は全ての群で同じでした。
また、糖尿病ケトアシドーシスの頻度も増加しませんでした。
3) 考察
3群ともインスリンの量を減少出来ています。
SGLT-2iとGLP-1RAとの作用機序の違いが、併用効果をもたらしているとしています。
低血糖の報告は、GLP-1RAと併用療法では同じですが、SGLT-2iとコントロール群では
倍でした。併用療法の場合には、インスリン量が同じ場合に低血糖が起きています。
私見)
本日、市原医師会の糖尿病研究会(三村会長)が開催されました。
GLP-1RAの作用は多方面のようで、単に膵臓に作用してインスリン分泌を促すばかりでは
ないようです。近々文献を整理してブログします。
本論文.pdf