大腸ファイバーの精度?
Adenoma Detection Rate and Colorectal Cancer Risk in Fecal
Immunochemical Test Screening Programs
Immunochemical Test Screening Programs
大腸がん検診では便潜血検査が先ず行われますが、精度から言って大腸ファイバーが
ゴールドスタンダードです。
ではその大腸ファイバーの精度は、実際はどうなのかと問いかける論文がでました。
イタリアからの報告ですが、イタリアでの大腸がん検診のシステムは、50〜69歳が対象で、
2年に1回の便潜血検査です。
便潜血陽性者は、全て大腸ファイバー検査を受ける事となっています。
生検でグループ4ではポリープ切除後1〜3年後の再検を実施し、グループ3もしくはポリープ
がない場合は、2〜5年後に新たに便潜血検査を行います。
1) 便潜血陽性で大腸ファイバー検査を行った人が対象です。
最初のインデックスの大腸ファイバー検査後で6か月から10年後に大腸がんの発生を
調べています。
一方の因子として、検査医師の力量を大腸ポリープ検出率にて調べています。
大腸ポリープ検出率(ADR)を、T群20〜39%、U群44〜44.9%、V群45〜49.9%、
W群50〜54.9%、X群55〜70%の5群に分けました。
2) 最初のインデックス検査は110,109例です。
113名の内視鏡医師が検査を実施しています。
大腸ポリープ検出率の平均は、48.3%です。
大腸ファイバー検査後に大腸がんの発生(PCCRC)は、277例です。
6〜11か月後が1.8%、12〜35か月後が24.2%、36〜59か月後が30.3%、
60か月以上が43.7%でした。
PCCRCの発生部位は、上行結腸が43.0%、下行結腸が20.9%、直腸が21.3%順です。
年間10,000人当たりの大腸がんの発生をADRで見ていきますと、
T群13.13,U群10.61、V群7.60、W群6.01、X群5.78でした。
ADRが低い場合と高い場合を比較しますと、危険率は約2倍となります。
つまり、PCCRCとADRとは逆相関の関係でした。この事はポリープを多く発見できる
内視鏡医師は、大腸がんの診断にも精度が高いと推測できます。
しかし、本研究のlimitationとしてADRの高い内視鏡医の方が、検査の回数を多く
勧める傾向があります。
私見)
大腸ファイバー検査の名人は、盲腸までの到達時間と言われていました。
無麻酔、無疼痛が自慢でもありました。
それよりは、やはり丁寧に検査をすることが大事の様です。
ポリープの検出率をもって名人とする本論文には、説得力があります。
便潜血がある場合には大腸ファイバー検査で所見がなくても、3年後の大腸ファイバー
再検査を勧めるのが、名人でない私としては適当でしょうか。
私もポリープ検出率を上げる努力をして参ります。
そろそろ大腸がん検診の方法論も、検討の時期ではないでしょうか。
Adenoma Detection Rate.pdf