2023年03月31日

大腸ファイバーの精度?

大腸ファイバーの精度?

Adenoma Detection Rate and Colorectal Cancer Risk in Fecal
Immunochemical Test Screening Programs



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 大腸がん検診では便潜血検査が先ず行われますが、精度から言って大腸ファイバーが
ゴールドスタンダードです。
ではその大腸ファイバーの精度は、実際はどうなのかと問いかける論文がでました。
イタリアからの報告ですが、イタリアでの大腸がん検診のシステムは、50〜69歳が対象で、
2年に1回の便潜血検査です。
便潜血陽性者は、全て大腸ファイバー検査を受ける事となっています。
生検でグループ4ではポリープ切除後1〜3年後の再検を実施し、グループ3もしくはポリープ
がない場合は、2〜5年後に新たに便潜血検査を行います。


1) 便潜血陽性で大腸ファイバー検査を行った人が対象です。
   最初のインデックスの大腸ファイバー検査後で6か月から10年後に大腸がんの発生を
   調べています。
   一方の因子として、検査医師の力量を大腸ポリープ検出率にて調べています。
   大腸ポリープ検出率(ADR)を、T群20〜39%、U群44〜44.9%、V群45〜49.9%、
   W群50〜54.9%、X群55〜70%の5群に分けました。

2) 最初のインデックス検査は110,109例です。
   113名の内視鏡医師が検査を実施しています。
   大腸ポリープ検出率の平均は、48.3%です。
   大腸ファイバー検査後に大腸がんの発生(PCCRC)は、277例です。
   6〜11か月後が1.8%、12〜35か月後が24.2%、36〜59か月後が30.3%、
   60か月以上が43.7%でした。
   PCCRCの発生部位は、上行結腸が43.0%、下行結腸が20.9%、直腸が21.3%順です。
   年間10,000人当たりの大腸がんの発生をADRで見ていきますと、
   T群13.13,U群10.61、V群7.60、W群6.01、X群5.78でした。
   ADRが低い場合と高い場合を比較しますと、危険率は約2倍となります。
   つまり、PCCRCとADRとは逆相関の関係でした。この事はポリープを多く発見できる
   内視鏡医師は、大腸がんの診断にも精度が高いと推測できます。
   しかし、本研究のlimitationとしてADRの高い内視鏡医の方が、検査の回数を多く
   勧める傾向があります。






私見)
 大腸ファイバー検査の名人は、盲腸までの到達時間と言われていました。
 無麻酔、無疼痛が自慢でもありました。
 それよりは、やはり丁寧に検査をすることが大事の様です。
 ポリープの検出率をもって名人とする本論文には、説得力があります。
 便潜血がある場合には大腸ファイバー検査で所見がなくても、3年後の大腸ファイバー
 再検査を勧めるのが、名人でない私としては適当でしょうか。
 私もポリープ検出率を上げる努力をして参ります。
 そろそろ大腸がん検診の方法論も、検討の時期ではないでしょうか。








Adenoma Detection Rate.pdf








posted by 斎賀一 at 19:43| Comment(0) | 消化器・PPI

2023年03月29日

妊娠中の胃酸分泌抑制剤の服用は乳児の食物アレルギーに影響?

妊娠中の胃酸分泌抑制剤の服用は乳児の食物アレルギーに影響?

<短 報>


 妊娠中に抗生剤と胃酸分泌抑制剤(潰瘍治療薬)を服用していると、乳児における食物
アレルギーに影響を与えるとの報告が、AAAIの年次学会でなされたとの報道がありました。
対象は、細気管支炎で入院した生後12か月までの乳児921人(平均月齢3か月)です。
母親へのアンケート調査を行っています。
卵、ミルク、ピーナッツ、ナッツ類に関してアレルギー症状、IgE検査、スクラッチ検査を
行っています。妊娠中に胃酸分泌抑制剤を16%、抗生剤を46%服用していました。
一歳までに食物アレルギーのある可能性は2.1%で、82%は可能性がありませんでした。
危険率を服用していない母親と比較しますと、胃酸分泌抑制剤は2.33の危険率、
抗生剤は3.54でした。乳児期での危険率の増加が認められました。







私見)
 学会報告のため詳細な解釈が出来ませんが、安全と言われている薬剤でも妊娠中には
 その服用による利点の検討が、更に重要視されるようです。








Acid suppressant medication.pdf












posted by 斎賀一 at 17:21| 小児科

2023年03月28日

実地医家もAI突入の時代か

実地医家もAI突入の時代か

ChatGTPのアクセス

AI Passes U.S. Medical Licensing Exam
− Two papers show that large language models,
including ChatGPT, can pass theUSMLE



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 羽生九段がAIに対抗する姿にレベルの違いはありますが、私と重ね合わせて声援を送って
しまいます。
しかし、アメリカの国家試験でもチャットGTPを駆使したAIが、事前に特別の訓練もなく合格
しているとの報道は、実地医家にとっても革命的な出来事と感じます。
エコー検査が始まった時、医療革命が起きると感じましたが、それに匹敵する革新的変化かも
しれません。
論文の著作権問題など超える壁は多々あるようですが、導入に向けて準備をして参りましょう。


ChatGTPへのアクセスは下記より


  https://openai.com/blog/chatgpt




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         上の図のTry ChatGPTをクリック
         その後は登録に進みます。






        50328-3.PNG

   
         上の図のカーソルに日本語でも記載できます。






私見)
 まだ、AI世代には負ける気がしませんが、利用出来るか打ちのめされるか、その時が
 すぐそこまで来ているようです。







AI Passes U.S. Medical Licensing.pdf

Google AI Performs.pdf















posted by 斎賀一 at 17:29| その他