2023年01月31日

食物繊維を食べると片頭痛の予防になる

食物繊維を食べると片頭痛の予防になる
 
The association between dietary fiber intake and
severe headaches or migraine in US adults



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 ある種の因子が片頭痛を誘発する事は、良く知られています。
アルコール、チョコレート、柑橘類、ナッツ、アイスクリーム、トマト、タマネギ、乳製品、
カフェイン、グルテン、ストレス、ライフスタイルです。
食物繊維は腸管で吸収されませんが、大腸に入ると腸内細菌により発酵して、腸内細菌の
恒常化を司ります。食物繊維が豊富な食べ物は、果物、野菜、穀物、ジャガイモ、塊茎です。
食物繊維が片頭痛の予防になるとの論文が、中国より発信されました。


1) 1999年から2004年までの12,710人が登録されています。
   重症な片頭痛は2,527/12,710(19.9%)に出現しています。
   片頭痛と食物繊維の摂取量とは、逆相関の関係です。 危険率は0.74でした。
   また、食物繊維を毎日10g摂取することにより、片頭痛が11%減少していました。
   ただし、アメリカ人とメキシコ人にはあまり顕著ではなく、肥満傾向の人
   (BMIが25〜30)にも当てはまりませんでした。

2) 腸管の透過性の亢進は前炎症物質の吸収に繋がります。それが血管に作用する誘引物質と
   なります。食物繊維は腸管で吸収されませんが、腸内細菌叢により代謝され、細菌の代謝
   産物が形成されます。
   この代謝産物が腸管のバリヤーとなり、免疫機能と炎症の恒常化を保ちます。
   そして、オキシダントと炎症のカスケードをも防ぎ、片頭痛を緩和します。
   食物繊維特にグリセミックインデクスが低い食物が有効です。
   グリセミックインデクスの低い食品を介入すると、3か月で片頭痛予防の効果が表れます。
   女性は男性の3倍、片頭痛の頻度が高いですが、エストロゲンとの関係で生理、更年期、
   妊娠により片頭痛の発生は影響します。
   また肥満との関連性も指摘しています。






私見)
 動脈硬化が進むと、片頭痛の頻度は減少すると言われています。
 そのせいか、はたまた便秘解消のためゴボウを食しているためか、私は片頭痛から解放されて
 います。







本論文.pdf

GL値とは?GI値との違いと.pdf

グリセミックインデクスとグリセミックロード.pdf

1 片頭痛を悪化させる食品.pdf

2 小児及ぶ青年の片頭痛に対する予防.pdf

3 片頭痛を誘発する食品_.pdf

4 片頭痛の鑑別.pdf

5 赤ワインは片頭痛の誘発因子.pdf

6 小児の片頭痛.pdf

7 ランニングが片頭痛に有効.pdf

8 片頭痛について_.pdf

9 口内細菌と片頭痛との関係.pdf

10 急性期片頭痛のガイドライン.pdf

11 小児の片頭痛は腹痛発作.pdf

12 コーヒーは片頭痛に良くないかも?.pdf














posted by 斎賀一 at 18:32| 脳・神経・精神・睡眠障害

2023年01月30日

実地医家のべからず集;choosing wisely

実地医家のべからず集;choosing wisely



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 SGIMのchoosing wiselyは、実地医家に対する辛口の論評です。
今回も大胆とも思える警告を発しています。


1) インスリンを使用していない2型糖尿病患者が、家庭で毎日血糖モニタリングを行う事は
   お勧めしません。

2) 患者が恩恵を受ける可能性がない限り、定期的な年次検査を実施しないでください。
   検査の頻度は、個々のリスク要因と好みに基づいて決定する必要があります。
   健康診断を実施している場合は、重なる健康診断は避けるべきです。

3) 低リスクの外科的処置の前に、定期的な術前検査を実施しないでください。

4) 平均余命が10年未満の成人のがん検診は、お勧めしません。

5) 患者または医療提供者の便宜性のためだけに、末梢にカテーテルを留置したり、放置
   しないでください。







私見)
 アメリカでは、以前より費用対効果から医療の適切化が叫ばれています。
 日本のもったいない感覚からはやや趣が異なりますが、更なる医療費の削減が求められて
 いるのかもしれません。
 日本は以前の輝きを失っているのでしょうか。
 団塊の世代は、全てにおいてお荷物になるのでしょうか。
 真の福祉国家を目指したいものです。








Print _ sgim.org.pdf








posted by 斎賀一 at 17:35| その他

2023年01月28日

新しい心不全治療薬を強く推奨!・JACC

新しい心不全治療薬を強く推奨!・JACC

Heart Failure Drug Treatment−
Inertia, Titration, and Discontinuation


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 JACCによりますと、心不全は世界規模の健康生活にとっての問題です。心不全の入院後に、迅速な適切治療を開始する事が重要です。それが心不全の再入院を予防し、QOLの向上に繋がります。ガイドラインでも新しい治療である、SGLT-2阻害薬のフォシーガとエンレストを推奨しています。しかし、それ程普及していないとの調査結果が雑誌JACCに掲載されています。調査は日本、スウェーデン、アメリカで行われました。


 1) 心不全で入院後、12か月以内でのガイドラインに沿った治療がなされて
    いるかを調べています。治療開始後の12か月以内での薬の中断も調べ
    ました。

 2) 266,589名が登録されました。新しい治療薬群としてフォシーガと
    エンレスト、従来の治療群としてACE阻害薬、ARB、βブロッカー、
    MRAです。
    
    心不全で、入院後から治療開始の平均期間を国別に見ますと、
    日本では;新しい群は39と44日、従来群は12〜13日
    スウェーデンでは;新しい群は44日と33日、従来群は22〜31日
    アメリカでは;33日と19日、従来群は18〜24日
    12か月以内での中断率は、フォシーガが23.5%、エンレストが26.4%、
    ACE阻害薬が38.4%、ARBが33.4%、βブロッカーが25.2%、
    MRAが42.2%でした。

 3) 新しい治療薬(フォシーガとエンレスト)は、慢性腎臓病においては
    特に重要です。エンレストに関しても蛋白尿の若干の増加を認めますが、
    腎機能のeGFRの低下を阻止します。
    新しい治療薬も、従来の治療薬も中断すると、1年以内での死亡率が30%
    増加します。アメリカで薬の中断率が高いのは、以前に急性腎障害の報告
    がなされたためと思われます。実際には、急性腎障害は稀でした。
    新しい治療薬の開始の遅さは、単に惰性(inertia)かもしれません。



私見)
 天下のJACCからの勧告を含めた調査結果です。しかし、私としましては逆に解釈します。日本を含めた多くの臨床家は、新しい心不全治療薬に対して慎重にトライしています。これが臨床家の肌感覚で、決して惰性で診療をしているわけではないと思うんです。 
 新型コロナが5類相当となります。しかし、2類とどう変わるのでしょうか?
 診療スタイルを変えないことも大事です。




心不全 元文献.pdf












posted by 斎賀一 at 17:10| 循環器