医療従事者はN95マスクが必要か?
Medical Masks Versus N95 Respirators for Preventing COVID-19
Among Health Care Workers
Among Health Care Workers
医療従事者にとって、N95とサージカルマスクの比較を調べた論文が載っていしまたので
ブログします。
1) 新型コロナの疑いや確定診断した患者を診療した医療従事者を対象にしています。
各国で調査をしていますが、患者との暴露時間は同等にしています。
自己報告によるアドヘアランスは、サージカルマスクが91.2%でN95は80.7%でしたが
実際の聞き取り調査では、サージカルマスクが98.3%でN95が96.6%のアドへアランス
でした。
参加者は、現在流行している変異株に50%以下の効果のワクチンを接種しているか、
非接種者です。
2020年5月4日から2022年3月29日まで、カナダ、イスラエル、パキスタン、エジプトの
29の医療施設で調査しています。COVID-19が疑われる、または確認された患者に直接
ケアを提供した1,009人の医療従事者を登録しました。
サージカルマスクと適合テスト済みのN95マスクを10週間使用しています。
2) 主要転帰は、PCR検査でCOVID-19の確認です。
結果は、PCR検査で確認されたCOVID-19は、医療用マスク群の参加者497人中52人
(10.46%)で発生し、N95呼吸器群では507人中47人(9.27%)で発生しました。
(危険率1.14)
サージカルマスクのN95に対する危険率は各国で異なります。
・カナダ;6.1%対2.2% (危険率2.83)
・エジプト;13.6%対14.6% (危険率0.95)
・イスラエル;35.3%対23.5% (危険率1.54)
・パキスタン;3.3%対2.1% (危険率1.50)
各国で幅が大きい結果です。イスラエルでは流行の期間が長く、医療従事も当然長くなり
ます。
ベースラインでの血清抗体陽性率がカナダでは2%と低いのは、パンデミックの初期に登録
しているためで、エジプトとパキスタンでは80%と高い傾向で、当然ながら全体的な危険
地域はエジプトとパキスタンの方があります。
エジプトではオミクロンが流行している時期に登録し、ワクチンも接種が行き渡っていま
した。
サージカルマスクとN95が対する効果は、危険率が3%減から69%増まで幅が広いです。
地域として感染拡大が強い国はカナダと異なり、サージカルマスクとN95の効果の違いが
見えなくなります。
オミクロン株が流行していて抗体陽性率が高い場合は、サージカルマスクとN95の差は
なくなります。現にエジプトではその差はありません。
リスクが5%増加は許容範囲かもしれませんが、それ以上は医療従事者には受け入れられ
ないかもしれません。
しかし実際は供給の問題もあり、危険率が倍あるとしてもサージカルマスクを採用して
います。
本論文の限界(limitation)としては、家庭およびコミュニティへの曝露、国間の異質性、
効果の推定値の不確実性、自己申告によるアドヘアランスの違い、ベースライン抗体の
違い、および循環変異体とワクチン接種の国間の違いによるSARS-CoV-2の潜在的な感染
があります。
3) サージカルマスクとN95のどちらを選ぶかは一概には言えなく、それぞれの国の事情に
よります。
私見)
結論的にはN95をサージカルマスクに変更すると、20%の危険率の増加が予想されます。
(N95の危険率が5%なら、サージカルマスクは6%となります。)
ワクチンが医療従事者で行き渡り、コロナも明らかに弱毒化している今日、二重のサージカル
マスクとフェイスシールドの併用で事足りるかもしれません。
人生、色々な意味で息苦しい私は、以前からそうしています。
本論文.pdf