2022年12月14日

インフルエンザ流行の予測サイト

インフルエンザ流行の予測サイト


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 日立がAIを駆使して、4週間先のインフルエンザの流行を予測するサイトを立ち上げました。
コロナ以前のインフの流行は、ある日突然到来し、収束もあっという間に訪れます。
但し、その後にB型がじわじわとぶり返すパターンと記憶しています。
本サイトと厚労省の報道を大いに利用して参りますが、現段階ではインフの検査は不要と
認識しています。





https://www.hitachi-sis.co.jp/sp/sicknews/now.html?utm_source=nr&utm_medium=nr221207&utm_campaign=sicknews

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000005268.html










posted by 斎賀一 at 18:37| インフルエンザ

2022年12月12日

新型コロナの再感染に対する誤解

新型コロナの再感染に対する誤解

Are Repeat Coronavirus Infections Really More Dangerous Than theFirst?
− No, but a recent study has been misinterpreted by some as saying that



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 海外のネットやツイッターでは、新型コロナの再感染は重症化するとの誤情報が出回っている
 ようです。それはミスリードするとの警鐘がmedpage todayに載っていましたので、ブログ
 してみます。尚、関連文献は下記に載せました。


1) 雑誌natureの記載によると、一度感染すると死亡率と入院率が予防できる。
   残念ながらその予防効果は徐々に低下するが、15か月まで再感染率が60%まで期待
   できる。
   死亡率と入院率は低下していない。しかもワクチンを接種していればその効果は
   ハイブリットとなり増大する事が示されている。





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2) 雑誌NEJMの報告は再感染に対して我々を安堵させるものです。
   ワクチン非接種者ですら、再感染における重症化は325人中1人です。
   再感染において重篤化や死亡例は極めて稀です。初感染における重篤化や死亡例は
   基礎疾患のない人では0.5〜0.1です。しかも変異株において、その率は低下傾向です。
   但し、一度目に重篤化した人は二度目の方が重症化した症例もありました。
   この事がミスリードとなってしまいました。
   本論文の筆者は述べています。
   「決して一回目と二回目の重症化率を比べたわけでない。二回目の感染で医療機関を受診
    したケースのみを調べています。
    (当然ながらアメリカでは日本と異なりフリーアクセスではありません。)
   高齢者では、二度目の感染にも十分な注意が必要という事です。






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3) もちろん対策は再感染を防ぐことですが、1回目の感染よりも2回目の方が軽症との希望的
   観察も上の表から出来ます。何と言っても感染歴のある人もワクチンの普及が大事です。






私見)
 第八波の昨今ですが、本院でもワクチン未接種の小児で再感染が認められています。
 現在重症化した方はいらっしゃいませんが、ワクチンの接種は感染後3か月をめどに勧めて
 います。
 職員の皆さん、勇気をもって乗り切りましょう。









本論文.pdf

1 コロナの再感染nature.pdf

2 コロナの再感染NEJM.pdf












posted by 斎賀一 at 17:49| 感染症・衛生

2022年12月09日

フォシーガの心不全における費用対効果

フォシーガの心不全における費用対効果

 〜患者さん並びに職員勉強編〜

Cost-effectiveness of Empagliflozin in Patients With
Heart Failure With Preserved Ejection Fraction



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 糖尿病治療薬のフォシーガは心不全にも有効との事で、心不全の治療を開始するための4本柱
として、エンレスト、ベータ遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に加わり、最近特に
処方されていますが、駆出率が40%以上と保たれている心不全(HFpEF)には費用対効果が
乏しいのでは、との論文が雑誌JAMAに載っています。
 以前の私のブログでも紹介しましたが、NEJMの論文ではHFpEFにフォシーガを投与すると、
心不全の入院率と、心血管疾患の死亡率を低下させるとの報告から、フォシーガがHFpEFにも
処方されてきています。EMPEROR研究と同じモデルでその費用対効果を調べています。


1) 先ずは前知識として費用対効果を見る場合には、QALY(質調整生存年)と増分費用
   効果比(ICER;incremental cost-effectiveness ratio)が指標となるとの事で
   ネットにより勉強しました。下記のPDFをご参照ください。
   QALYは心不全をQOLとして捉えています。1年間全く健康で過ごした場合をQALYが1と
   します。死亡した場合は0です。
   1QALYを得るためのコストがICERです。ICERが500万円までならその薬は費用対効果が
   あるが、1,000万円以上の場合は費用対効果が低いとの判断になります。
   (下記のPDFをご参照ください。)

2) フォシーガをHFpEFに処方した場合には、心血管疾患の死亡が9%削減でき、QALYは0.06
   改善します。しかし1QALYに換算した費用(つまりICER)は$437,442となります。
   フォシーガがプライスダウンすれば$174,000となります。

3) 円安と相まって当然、コストの閾値を超えています。








私見)
 現時点では、HFpEFに対する処方は標準治療が主体で、BNPの上昇に加えて駆出率の低下傾向
 の場合にはフォシーガのアドン療法となるかもしれません。
 ガイドラインに従うと、エンレストはその先の戦術でしょうか。
 本院では、心不全傾向で糖尿病患者さんにはSGLT-2阻害薬、高血圧患者さんにはエンレストを
 アドンする方式にしていますが?







本論文 フォシーガのコスト.pdf

医療の費用対効果を考える.pdf

いのちの値段 QALYとICER.pdf

「費用対効果評価」の基礎知識.pdf














posted by 斎賀一 at 21:31| 糖尿病