新型コロナワクチンと帯状疱疹
Herpes zoster related hospitalization after inactivated (CoronaVac) and
mRNA (BNT162b2) SARS-CoV-2 vaccination
新型コロナワクチンの接種後に、帯状疱疹に罹患した患者さんから質問を受けることがあります。ネットでも情報が氾濫しています。
今回、心強い論文が雑誌JAMAに掲載されていますので、ブログします。
1) 下記の図でモデリングを説明します。
接種の1回目と、2回目のそれぞれ30日以内がリスク期間となります。
30日間の期間を空けて(ウオッシュアウトを設けて)、そのウオッシュ
アウトを含めて、60日以内を対照期間として、帯状疱疹の発生を
比較しています。
又、パンデミック以前、もしくはパンデミック初期にインフルエンザ
ワクチンを接種した2つの資料(コホート)における、インフルエンザ
ワクチン接種後の、帯状疱疹のリスクも比較しています。
2) 結果
2039,854人が対象で、平均年齢は43.2歳、女性が50.6%です。
帯状疱疹の発生は、1,451人で、平均年齢は51.6歳、女性が58.2%です。
新型コロナワクチンの危険率は、0.91でした。
ファイザーワクチンは危険率0.84、モデルナワクチンは0.96です。
パンデミック以前のインフルエンザワクチンと比較して、新型コロナ
ワクチンは、1回目の接種で危険率は0.78で、2回目の接種の危険率は、
0.79です。
パンデミック初期のインフルエンザワクチンと比較して、新型コロナ
ワクチンは、1回目の接種での危険率は0.89、2回目の接種の危険率は、
0.91です。

左側が関連性が乏しく、右側が関連性が高くなりますが、
全てのサブグループで、アストラゼネカワクチン以外は
左にシフトしており、関連性は乏しい結果です。
3) 討論
狂犬病、A型肝炎、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチンとの
関連性が、帯状疱疹に関して言われていました。
新型コロナワクチンは、toll様レセプターにシグナルを送りますが、
潜在性の帯状疱疹ウイルスの再活性化もこのルートを通ります。
そのために、新型コロナワクチンと帯状疱疹の関連性が懸念されました。
(下記にtoll様レセプターに関して免疫学イラストレイテッドから
引用します。)
4) 結論
新型コロナワクチンと、帯状疱疹の関連性を指摘している
香港からの報告もありますが、本研究では関連性は認められ
ませんでした。
(香港からの論文も下記に掲載しますが、関連性を指摘しつつ、
症例的には極めて稀で、新型コロナワクチンの利点が勝り、
接種を推奨しています。)
私見)
本論文でも、新型コロナワクチンの接種を控える傾向に利用されてはならないとしています。
古い私は、免疫の基本の特異性を説いた、バーネットの細胞免疫からは考えられない気がするのですが。
引き続き、新型コロナワクチンを推奨します。
本論文.pdfHerpes zoster related hospitalization.pdf