2022年11月30日

感染性胃腸炎の増加傾向

感染性胃腸炎の増加傾向

〜患者さんへのお願い〜


 最近、それ程重症感はない嘔吐下痢症が、小児を中心に増加傾向です。
国立感染症研究所のホームページを調べても、ウイルスは発表になっていません。
ロタ、サポ、ノロの報告はないようです。
 例年、最初は不明確なsmall round virusから始まり、やがてロタ、ノロが続くパターンが
コロナ以前では常でした。
また、嘔吐と下痢の患児で腸重積と診断した例が、一日で3例もあったことがあります。
 インフルエンザとコロナの同時流行も懸念されるシーズンとなりました。
全ての感染症に目を配らなくてはならない時期です。
本院も外来受付、診療の流れを模索しております。
患者さんにはこの時期、特段のご理解をお願い致します。
尚、インフルエンザの検査は偽陽性も10%程あるものと理解しています。流行時には擬陽性は
マスキングされますが、定点当たりのインフルエンザ発生が増加傾向の時期から、本院では
インフルエンザの迅速検査を行う予定です。
 新型コロナが感染症5類になれば検査も自己負担になります。迅速かつ有効な検査体制も必要
と考えています。
感染症状況に関しては、適時ブログしてまいります。








1 感染性胃腸炎.pdf

2 東京 八王子 病院でインフルエンザ患者が増加.pdf

3 インフルエンザ 定点.pdf

4 インフルエンザ.pdf

5 ノロ サポ.pdf

6 ロタ.pdf

7 感染症週報.pdf







posted by 斎賀一 at 19:27| 感染症・衛生

2022年11月29日

二価コロナワクチンのブスター接種後の安全性

二価コロナワクチンのブスター接種後の安全性
 
Safety Monitoring of Bivalent COVID-19 mRNA Vaccine Booster Doses
Among Persons Aged ≥12 Years − United States, August 31–October 23, 2022



41129.PNG



 アメリカのCDCから二価コロナワクチン接種後の安全性の報告がなされたと、医療ネットの
ケアネットに報告されています。原文から表を和訳して見ました。


1) スマホから接種者の報告があるv-safeと、CDCが管理する有害事象のモニタリングの
   VAERSからの集計です。

2) 従来のコロナワクチンと比べて、二価ワクチンの安全性は同等との評価です。
   v-safeは期間中に211,959人が接種しています。




       41129-2.PNG

  

         VAERSへの期間中の報告は、合計で5,542件でした。



       41129-3.PNG





   
  
私見)
 新型コロナ感染の重症化は、パンデミック当初と比較すると実地医家の感覚でも明らかに
 少なくなっています。
 新型コロナが感染症が5類となり、ワクチンの自己負担も検討されていますが、第8波
 以降のワクチンに対しては、勧奨の説得力は低下するかもしれません。
 上の図表が見にくい場合は、下記にPDF化しましたのでご参照ください。








コロナ二価ワクチン.pdf

本論文.pdf










posted by 斎賀一 at 18:46| ワクチン

2022年11月26日

新型コロナワクチンと帯状疱疹

新型コロナワクチンと帯状疱疹

Herpes zoster related hospitalization after inactivated (CoronaVac) and
mRNA (BNT162b2) SARS-CoV-2 vaccination




1126.PNG



 新型コロナワクチンの接種後に、帯状疱疹に罹患した患者さんから質問を受けることがあります。ネットでも情報が氾濫しています。
今回、心強い論文が雑誌JAMAに掲載されていますので、ブログします。


 1) 下記の図でモデリングを説明します。


        1126-2.PNG



    接種の1回目と、2回目のそれぞれ30日以内がリスク期間となります。
    30日間の期間を空けて(ウオッシュアウトを設けて)、そのウオッシュ
    アウトを含めて、60日以内を対照期間として、帯状疱疹の発生を
    比較しています。
    又、パンデミック以前、もしくはパンデミック初期にインフルエンザ
    ワクチンを接種した2つの資料(コホート)における、インフルエンザ
    ワクチン接種後の、帯状疱疹のリスクも比較しています。

 2) 結果
 
    2039,854人が対象で、平均年齢は43.2歳、女性が50.6%です。
    帯状疱疹の発生は、1,451人で、平均年齢は51.6歳、女性が58.2%です。
    新型コロナワクチンの危険率は、0.91でした。
    ファイザーワクチンは危険率0.84、モデルナワクチンは0.96です。
    パンデミック以前のインフルエンザワクチンと比較して、新型コロナ
    ワクチンは、1回目の接種で危険率は0.78で、2回目の接種の危険率は、
    0.79です。
    パンデミック初期のインフルエンザワクチンと比較して、新型コロナ
    ワクチンは、1回目の接種での危険率は0.89、2回目の接種の危険率は、
    0.91です。
 

        1126-3.PNG


    左側が関連性が乏しく、右側が関連性が高くなりますが、
    全てのサブグループで、アストラゼネカワクチン以外は
    左にシフトしており、関連性は乏しい結果です。
 
 3) 討論
   
    狂犬病、A型肝炎、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチンとの
    関連性が、帯状疱疹に関して言われていました。
    新型コロナワクチンは、toll様レセプターにシグナルを送りますが、
    潜在性の帯状疱疹ウイルスの再活性化もこのルートを通ります。
    そのために、新型コロナワクチンと帯状疱疹の関連性が懸念されました。
   (下記にtoll様レセプターに関して免疫学イラストレイテッドから
    引用します。)
   

        1126-4.PNG
        1126-5.PNG
      
    
 4) 結論
  
    新型コロナワクチンと、帯状疱疹の関連性を指摘している
    香港からの報告もありますが、本研究では関連性は認められ
    ませんでした。
   (香港からの論文も下記に掲載しますが、関連性を指摘しつつ、
    症例的には極めて稀で、新型コロナワクチンの利点が勝り、
    接種を推奨しています。)





私見)
 本論文でも、新型コロナワクチンの接種を控える傾向に利用されてはならないとしています。
 古い私は、免疫の基本の特異性を説いた、バーネットの細胞免疫からは考えられない気がするのですが。
 引き続き、新型コロナワクチンを推奨します。






本論文.pdf

Herpes zoster related hospitalization.pdf














posted by 斎賀一 at 19:21| ワクチン