2022年10月31日

ピロリ菌・除菌における抗生剤の耐性その1

ピロリ菌・除菌における抗生剤の耐性その1

Rates of Antimicrobial Resistance in Helicobacter pylori Isolates
from Clinical Trial Patients Across the US and Europe


   
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 ピロリ菌の除菌における抗生剤の耐性問題は以前から指摘されており、第一次除菌のレジメの
有効率は80%以下と推定されています。それでも依然として処方は続いています。
今回、雑誌Am J Gastroenterolから報告がありましたので、要約を紹介します。


1) 一般的にPPIを基本とした除菌のレジメは耐性が15%を超えた場合は、その処方は避ける
   べきと言われていますが、現段階でクラリスの耐性は22.2%以上です。

2) アメリカで907人を対象に調査を行っています。
   クラリスが耐性の場合には、フラジールも3/4に耐性を認めています。
   アモキシリン(ペニシリン系)の耐性は1.2%
   フラジールは69.2%が耐性
   一般的に欧米ではフラジールの耐性は50〜79%で、アモキシリンの耐性は5%以下との
   報告です。

3) 以上のデータから総合的に考えて、PPIとクラリスを基本とした従来の治療は避けるべきと
   提言しています。






私見)
 医中誌で調べましたが、多くの報告論文は除菌の有効率です。
 抗生剤の耐性までは判明しませんでした。
 日本での現状を再度調べてブログします。






1 クラリス ピロリ菌.pdf

2 除菌報告 .pdf








posted by 斎賀一 at 19:02| 消化器・PPI

2022年10月28日

新型コロナとインフルエンザ同時流行の対応

新型コロナとインフルエンザ同時流行の対応
 
〜患者さん及び職員の皆さんへ〜


 今シーズンは、新型コロナとインフルエンザが同時流行の可能性が高まっています。
政府・厚労省、日本感染症学会等の各学会から、流行時のフローチャートが発表になって
います。
厚労省の内容は下記のPDF参照。 ネットの纏めたイラストを下記に掲載します。





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       日本感染症学会のフローチャートもほぼ同じです。






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重症化リスクのある方の定義はやや曖昧です。
重症化リスクのない方は、原則として新型コロナ抗原検査を自己診断して、その後のフロー
チャートとなっています。厚労省の見解は危機管理が前面に出ていますが、日本感染症学会では
原則として対面診療を勧めているようでありながら、かなり慎重で控えめな文言の印象です。
問題点はインフルエンザが強く疑われたら、オンライン診療でタミフルの処方も可能となって
いる点です。
私としては好意的に解釈して、医療が逼迫した状態ではこのようなフローチャートでも仕方が
ないと、実地医家の背中を押してくれたものと解釈します。
ただし、基本的なスタンスは逼迫状態でも守って行きたいものです。
・逼迫の状態でなければ出来る限り対面診療
・新型コロナとインフルエンザの流行時でも、その他の発熱疾患や急性疾患の診断が基本
・病変の変化に敏感であり続けましょう。
・本院独自のフローチャートを職員と作成し、柔軟性をもって事態に当たりましょう。
・一人の患者へのきめ細かなフローチャートが必要です。
 10人の患者には十色のフローチャートが必要となります。









コロナとインフルエンザ.pdf

1 COVID-19、インフルエンザ同時流行.pdf

2 同時発生 厚労省 1.pdf














posted by 斎賀一 at 17:12| 感染症・衛生

2022年10月25日

ファイザー6か月〜4歳用ワクチンの開始

ファイザー6か月〜4歳用ワクチンの開始


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1) 厚労省の特例承認を受けて、6か月〜4歳用のファイザーワクチンの接種が始まります。
   本院は公開枠での接種となります。
   成人の1/10量の3μを3回接種となります。
   モデルナワクチンとは異なり、やや細かな設定となっています。
   ファイザーのデータを調べますと3μ3回接種の中和抗体が高値となっています。






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      赤が2〜5歳(3μ)の3回接種、緑が14〜25歳(30μ)の2回接種
      右2つはコントロール






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      赤が6か月〜2歳(3μ)の3回接種、緑が14〜25歳(30μ)の2回接種





      副反応に関しては



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NHKの資料が要領よく纏めてあるので、下記にブログします。


2) 2価ワクチンが承認されましたが、何れも追加接種(ブスター)で初回接種は不可です。
   6か月〜4歳用の3回接種はブスター接種ではありません。下記のPDFを参照ください。

3) アメリカのFDAは、6か月〜4歳用2価のワクチンの追加免疫(ブスター接種)を承認した
   との報道もあります。やがて日本も承認されると思います。
   日々刻々と変化していますので注意して参りましょう。

4) ファイザー社のワクチンは4種類あります。用法用量が異なります。
   その中でオミクロン対応の2価ワクチンは2種類ありますが、BA1対応はなくなり、
   BA4/5対応のみになるとの事です。
   2価ワクチンは追加免疫のみで、6か月〜4歳用は初回免疫のみです。






1 ファイザーワクチン 各製剤の比較表.pdf

2 コロナワクチン _ NHK.pdf

3 ワクチン 厚労省.pdf

4 ファイザー 文献.pdf








 
posted by 斎賀一 at 19:30| 小児科