ブルガダ症候群・Brugada症候群
<院内勉強用>
検診で、ブルガダ症候群の疑いを指摘され、来院される患者さんが時々おります。患者さんは、事前にネットで調べ、不安になってくるケイスがあります。
文献、および今日の臨床サポートと、uptodateより調べ、ブログしました。
(一部、文献よりコピペ)
1) ブルガダ症候群とは、12誘導心電図のV1、またはV2(V3)誘導に
おける特徴的なST上昇と、心室細動(VF)を主徴とする、明らかな
器質的心疾患を認めない症候群です。
Brugada症候群の心電図のことを、Brugada型心電図と言いますが、
これには主にタイプ1と、タイプ2があります。
内容的には、タイプ1はCoved型、タイプ2はSaddleback型と
言われてます。
Coved型というのは、弓状に折れ曲がるとか、弓を曲げるといった意味
があり、心電図の心室波形であるQRS波の終末部が、弓を描いたように
ふっくらと湾曲して、その後の下向きのT波につながっていくものです。
Saddleback型というのは、文字どおり馬の鞍型で、ちょうど馬の鞍の
ようにST部分が基線よりも上がって、しかも、その後の上向きのT波に
つながっていくということです。
一般的にCoved型は、専門病院でのご紹介、Saddleback型は、
経過観察となります。
2) 1992年に、Brugada兄弟が発表したBrugada症候群は、日本を含む、
東アジアの男性に多く、夜間にうめき声をあげて、失神発作を繰り返す
ような、日本では昔、「ぽっくり病」と言っていたような概念で、
そういう方の心電図をとってみると、非常に特有な波形をしている
ということで、一つの症候群として提唱されたものです。
3) 無症候性であり、他の臨床基準を持たない、典型的なECG特徴を
有する患者は、ブルガダパターンを有すると言われます。突然の心臓死、
または持続的な心室頻脈性不整脈を経験した、典型的なECG機能を
有する患者、または他の関連する臨床基準を1つ以上有する患者は、
ブルガダ症候群、症状がない場合は、ブルガダパターンと言われます。
タイプ1のCoved型は、より心室細動などの致死的な不整脈を
起こしやすいタイプで、予後としてはあまり良くありません。
タイプ2のSaddleback型は、心室細動を起こしにくいという
ことで、予後はCoved型に比べると、良好と言われております。
症状もないSaddleback型の場合は、すぐに専門医の先生方に
お願いしなくてもよく、しばらく様子を見る余裕はあると思います。
遺伝子変異を呈するのは、たかだか2割前後と言われています。
多因子的な疾患であると言われておりますし、それに加えて、
自律神経や電解質バランスや環境因子も絡んでくるため、
非常に複雑です。
副交感神経の緊張が、Brugada型心電図を誘発しやすいので、
食後に満腹な状態で、副交感神経が緊張した際には、より明らか
になります。
発熱は、ブルガダパターンECG、またはブルガダ症候群を有する
人で、ブルガダパターンECG異常、および心停止、両方の誘発の
引き金となります。
4) 心電図というのは、胸部誘導でV1からV6がありますが、普通は、
第4肋間からV1としてスタートするわけです。これを1〜2肋間上げて、
第3肋間や第2肋間で、Vl、V2誘導に相当する電極をつけると、
第4肋間では見えなかったBrugada型心電図が、非常にはっきりする
ことがあります。
ブルガダECGパターンの経時的な変動は、一般的です。
5) ブルガダ症候群の患者は、心房不整脈、特に心房細動(AF)のリスクが
高く、発生率は、ブルガダ症候群の患者で10〜20%と言われています。
6) 薬剤誘発性ブルガダ症候群
私見)
Coved型とSaddleback型の鑑別を、下記のPDFに掲載しました。
薬剤誘発試験は、安全対策をして専門病院で行います。
本院では、Saddleback型に対して、十分な問診、心エコー検査、肋間を上げての心電図、食後の心電図、経過観察を行います。
参考文献)
・ゼロから学ぶBrugada症候群;臨林と研究・97巻3号(令和2年3月)
丸山 徹
・今日の臨床サポート
・uptudate
・ブルガダ症候群つてなに?;日医雑誌第143巻・第B号/平成26(2014)年1月
山根禎一
ブルガダ 文献集.pdf