2022年07月29日

サル痘の迅速診断・PCR

サル痘の迅速診断・PCR

<院内勉強用>

Rapid Diagnostic Testing for Response to the Monkeypox Outbreak −
Laboratory Response Network, United States, May 17–June 30, 2022



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 サル痘が日本にも上陸したとの報道です。
万が一にも本院に来院したらと想定すると、それは今でないでしょうと苦情の一言も言いたい
気持ちです。
取りあえず、そうは言っていられませんので、CDCの勧める迅速診断PCRを勉強しましょう。
サル痘のウイルスは、天然痘と同じオルソポックスウイルスです。
天然痘でないサル痘だけのオルソポックスウイルス(NVO)をPCRで診断します。


CDCの勧告を簡単に纏めますと


1)離れた病変部の2か所以上から検体を採取

2)血液検査のPCRは精度が50%以下







私見)
 日本のPCR関連文献がありましたので、下記に掲載します。
 検体の提出方法は、検査会社に問い合わせましょう。
 今流行の手足口病は、本年はかなりショボイ印象です。
 臀部の発疹が決め手となる場合もあります。勿論子供が中心ですが、大人の場合はサル痘
 も念頭に入れましょう。その他単純性ヘルペスも鑑別の必要が出てきました。







本論文.pdf

1 サル痘 PCR.pdf

2 サル痘について_.pdf









posted by 斎賀一 at 22:37| 感染症・衛生

2022年07月27日

新型コロナワクチン・ノババックスの勧め

新型コロナワクチン・ノババックスの勧め

CDC Panel Backs Novavax COVID Vaccine for Adults



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 新型コロナの第7波が本院でも猛威を奮っています。
特に若い人が中心です。問診でもワクチンの未接種者が多いようです。
保護者の方がワクチンの副反応に悩まされた経験から、子供には接種を手控える傾向も認め
られます。


 今回、アメリカのCDCの評議会(ACIP)の投票で、全会一致でノババックスを承認して
います。FDAも既に承認しています。
ノババックスはウイルスの蛋白成分を接種するため、副反応はmRNAワクチンよりも少ない
ようです。

(以下NHKより)

・接種した部位に痛みが出た人は、1回目の接種後は34.4%、2回目の接種後は59.7%、
・けん怠感が、1回目の接種後は25.6%、2回目の接種後は49.5%、
・38度以上の発熱が、1回目の接種後は0.4%、2回目の接種後は5.7%などと、頻度が低く
 なっているほか、この臨床試験を報告した論文では、稀な副反応、心筋炎の増加は確認され
 なかったとしています。
ノババックスのワクチンで、オミクロン株に対して発症や入院を予防する効果の分析結果は
今のところ発表されていませんが、ノババックスによりますと、2回目の接種のあとオミクロン
株の働きを抑える中和抗体の値は、従来のウイルスに対する値の4分の1以下になっていたと
いうことです。 (ノババックスの発表はオミクロン株流行前のデータです。)


1) 新型コロナワクチンの最大の問題は、未接種者をいかにカバーするかです。

2) ノババックスは3回目までの接種が認められていますが、本年の秋までには4回目の
   ブスター接種も承認されるとしています。 

3) 一部の委員からは、ブスター接種のスケジュール表が不明確である点と、他のワクチン
   との混同を懸念する意見がありました。
   (日本では杞憂と思われます。)
   

 


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   ノババックスは、たんぱく質成分とその効果を増強するアジュバンドを含みます。






私見)
 わが市原でも、集団接種会場を8月から設けています。
 先日のNHK日曜討論会でも、尾身会長が副反応が心配な若い人に、本ワクチンを推奨する
 答弁をしていました。下記にノババックスのパンフレットと市原市のアクセスを掲載します。
 効果が90%とmRNAワクチンよりも若干低いため、個人的には積極的ではありませんでした
 が、副反応が心配で接種を控えている人には選択肢にありと思ってきました。
 ただし4回目のブスター接種を希望される人はもちろん、mRNAワクチンですし、この秋には
 モデルナ社の新たなワクチン(どんな変異にも対応できる)が上市されるとの事で期待して
 います。






市原市へのアクセスは下記のサイトより

https://www.city.ichihara.chiba.jp/article?articleId=629e963282635255e3497538







本論文.pdf

ヌバキソビッド(武田社)を接種した方へ_接種後の注意点.pdf

厚生労働省_新型コロナワクチン_ノババックス製案内_表1_3K_220518.pdf

1 Coronavirus _ FDA.pdf

2 Novavax Fact Sheet.pdf












     
posted by 斎賀一 at 21:09| ワクチン

2022年07月25日

3剤配合吸入薬(ステロイド+LABA+LAMA)の有用性

3剤配合吸入薬(ステロイド+LABA+LAMA)の有用性

Adherence and Persistence to Single-Inhaler Versus Multiple-Inhaler
Triple Therapy for Asthma Management



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 喘息治療の吸入剤には吸入ステロイド(ICS)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)と
長時間作用型抗コリン薬(LAMA)がありますが、この3剤配合薬の一日一回吸入がアドへ
ランス(服薬遵守(じゅんしゅ))において有効との論文が出ています。
ご迷惑かと思いますが、以前の私のブログのオンパレードを下記に掲載します。
世界の基準GINA2021年に依りますと、アドへランスが喘息のコントロールに重要との指摘
です。
吸入療法のstep upを迅速に行うことが、喘息の増悪を防ぐとも言われています。
またGINAのガイドレインでも、LAMAの追加を肺機能の保持の点からも推奨しています。
しかし、アメリカと日本からの報告では3者併用のアドへランスの低下も指摘されています。
アメリカのFDAは、1日1回吸入の3者配合剤を承認しています。


1) 1,396例の3剤配合薬(single) 平均年齢50.6歳と5,115例の多剤併用(MITT)
   平均年齢50.2歳を比較しています。3か月の導入期間後6か月と12か月後の調査です。
   本研究では中途での変更は認めていません。
   対象は18歳以上です。(LAMAは12歳以上が適応です)
   調査対象からCOPDは除外されています。
   2016年9月18日より2019年12月31日の期間です。  
   PDC(proportion of days covered)と45日以上の怠薬のnon-persistenceを
   調べました。PDCは全日数に対する吸入日の割合です。
   0.8以上と0.5以上を調べました。

2) 3か月後の時点では、PDCはsingleで0.68に対し、MITTは0.59でした。
   6か月後はsingleが0.56に対し、MITTは0.46です。
   12か月後はsingleが0.46に対し、MITTは0.35です。

3) singleの方がMITTに比べて、50%以上も継続治療をしていました。




       
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           FF/UME/VIがsingle  MITTが多剤併用




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4) 配合剤(single)の方が、アドへランスが高いことを証明しました。
   本論文では喘息に対する効果は調べていませんが、他の文献からアドへランスが
   高ければ、喘息のコントロールも良好とのデータが出ています。








私見)
 喘息の治療の基本は頂上作戦です。
 まずしっかりした治療から始め、ステップダウンする方法です。(血圧などは裾野作戦で、
 少しづつステップアップする方法です。)
 以前のブログでも急性期にはサルタノール+フルタイド、サルタノール+シンビコート、
 コンプレッサーによるベネトリン+パルミコートの治療戦略を記載しましたが、3剤配合薬の
 頂上作戦も選択肢です。
 尚、最近この3剤配合薬が喘息に適応になりました。
 1日1回の吸入もアドへランスから有効で、頂上作戦及びステップアップ両方とも有効かも
 しれません。






本論文.pdf

3剤配合剤吸入薬(ステロイド+LABA+LAMA).pdf

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の急性増悪.pdf

COPDに対する吸入薬(レルべア)の効果_.pdf

COPDの新たな吸入薬_.pdf

気管支喘息ガイドライン・2020年版 その2_.pdf

気管支喘息ガイドライン・2020年版.pdf

吸入療法の仕方の間違い.pdf

軽症喘息には合剤(ICS+LABA)の頓用as needed.pdf

成人における重症、治療抵抗性の喘息.pdf

中等症以上の喘息治療は3剤併⽤療法が有効.pdf

難治性の喘息患者の鑑別.pdf

閉塞性肺疾患における吸入剤_.pdf

慢性閉塞性肺疾患の初期治療の注意:LABAとLAMA.pdf

喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド  本論文.pdf

喘息のレスキューにアルブテノール+ブデソニド その1_.pdf















posted by 斎賀一 at 22:16| 喘息・呼吸器・アレルギー