2022年06月28日

ペニシリンアレルギー段階的チャレンジテスト・2022年版

ペニシリンアレルギー段階的チャレンジテスト・2022年版
 
 <患者さん用>



 ある監督の言葉を借りて... 「長らくお待たせしました。」


実地医家の外来での抗生剤の使用は、ガイドラインに則て使用する事が大事です。
第一選択薬はペニシリン系でなくては不適切との風潮です。
 そこで、職員に協力してもらい改定版パンフレットを作成しました。
ペニシリンを初めて使用する場合、基本的には段階的少量チャレンジテストです。
下記にその基本姿勢を記載します。


・対象は、低リスクの患者さんが基本です。
 先ずはアレルギー問診表に記載してもらう。
・チャレンジする量は1/10 
 チャレンジテストが陰性の場合に、処方の抗生剤を服用開始する。

・ステップT
 健康な時に院内でチャレンジテストを行い、1時間の経過観察

・ステップU
 発熱外来で診察時にチャレンジテストを行い、処方薬が出来るまでの1時間を院内か車で
 待機し経過観察

・ステップV
 発熱外来でチャレンジテストを行い、15分間は院内待機観察
 更にトータル1時間、自宅での経過観察

・ステップW
 全て自宅でのチャレンジテストをお願いする。

・ステップX
 夕方でのチャレンジテストではセファロスポリン系とする。
 セファロスポリン系からペニシリン系への変更時は、自宅でのチャレンジテストも可とす。
 セファロスポリン系のチャレンジテストも同様に1/10量で施行


・アレルギー反応が出た場合は専用電話に連絡をお願いする。







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私見)
 先ずは実施してみます。不都合な点がありましたら、お申し出ください。
 改訂版を行なっていきます。
 今までのブログを下記に掲載します。








1 ペニシリンアレルギーに対する経口負荷試験.pdf

2 抗生剤アレルギー歴.pdf

3 JAMA改訂版.pdf

4 ペニシリン既往歴.pdf

5 JAMAパンフレット.pdf

ペニシリンアレルギー_.pdf

ペニシリンアレルギーに対する経口負荷.pdf

ペニシリンアレルギーに対する直接チャレンジテスト_.pdf

ペニシリンアレルギーの経口負荷試験.pdf

ペニシリンのアナフィラキシー反応.pdf

ラクタム系を必ずしも避けなくても良い.pdf














2022年06月27日

病歴からペニシリンアレルギーと判明した場合の対処方法は?・その3

病歴からペニシリンアレルギーと判明した場合の対処方法は?・その3


  〜月刊 薬事 2021.4. 藤條拓 今井徹〜


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 要領よく纏められた文献がありますので、ブログします。


1) 低リスク、中リスクの該当者は、皮膚検査やチャレンジテストを施行するのが一般的
   です。

2) ペニシリンとセファロスポリン系の交差反応は約2%と言われており、決して高くはない。

3) 第一世代セフェム系よりも、第二世代、第三世代セフェム系の方が交差しにくいとされて
   いる。







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ペニシリンアレルギー対策・その2

ペニシリンアレルギー対策・その2

 〜uptodateより〜

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 ペニシリンアレルギーについてuptodateより再考しました。


1) 全患者の10%、入院患者の15%がペニシリンアレルギーとの報告がありますが、その
   殆どがアレルギーはなく安全に投与が可能との事です。

2)・即時型反応
   投与後数分から1時間以内に現れる。
   食事とある薬物と一緒に投与する場合は、6時間後迄観察が必要なケースがある。
   症状は、掻痒感、蕁麻疹、血管浮腫、喘鳴、喉頭浮腫(声が変わる)、嘔気嘔吐、
   血圧低下です。

  ・遅発型反応
   反復投与により6時間から数日後に出現。即時型よりも一般的

3) 経口アモキシリン(本院のペニシリン)は200,000投与に1回でアナフィラキシー出現
   静脈投与の方がアナフィラキシー反応が多く、死亡事故のケースは静脈投与が大多数
   です。

4) 家族歴の問診は必要がありません。
   他のアレルギー疾患との関連性もなく、検査の必要はありません。

5) ペニシリンアレルギーは暴露を避けていると、時間と共に軽快する。
   5年経過で50%、10年経過で80%がアレルギーでは無くなります。

6) アレルゲンとしては、コアリング構造と側鎖にあります。
   (この問題点については後日報告します。)

7) アレルギー専門家による皮膚テストが勧められますが、不可能な場合は即時型反応が
   低い(低リスク)患者さんには、段階的チャレンジテストも可能です。

8) 過去の履歴で嘔吐、下痢が単発で出現する場合は、アレルギー反応ではないようです。
   また、既往歴から即時型と遅発型を区別するのは困難です。
   問診のみでの判定は困難、とするデータがあります。

9) ペニシリン皮膚反応陽性者の98%は、セファロスポリン系の抗生剤の服用が可能です。