2022年05月28日

オミクロン株でクループ症候群は起きるのです。 その2

オミクロン株でクループ症候群は起きるのです。 その2
 
COVID-19–Associated Croup in Children



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 トルコの症例報告を受けて、雑誌PEDIATRICSが症例を集めて報告しています。
新型コロナの初期の変異株では、感染は下気道におきて、重症の肺炎や肺線維症を引き起こして
いました。最近のオミクロン株では、上気道が感染の場となっています。
そのためオミクロン株では咽喉頭、声帯に炎症が生じ、乳幼児から小児にかけて、クループ症候
群を発症します。当然ながら、小児でのクループ症候群の際に新型コロナと他のウイルスの混合
感染の可能性もあります。



1) ボストン及びマサチューセッツで、2020年3月1日より2022年1月15日までの統計を調
   べました。

2) 結論
   新型コロナにおけるクループ症候群は75例ありましたが、その内81%がオミクロン流行
   時でした。
   72%が男児で、88%が入院しています。全ての患児でコロナ以外のウイルスを検査して
   いますが陰性でした。入院期間は平均で1.7日です。
   4例が集中治療室に入院していますが、死亡例はありません。

3) 新型コロナの流行は2年以上となっています。その病態は一筋縄ではいかず多岐に亘り、
   クループ症候群は単なる一つの症状かもしれません。

   



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(黒と橙のプロットは小児のクループ症候群を表し、淡い青線はコロナ患者の発生を1000単位
 で表しています。
 ミクロン株が流行し始めた点線を境に、クループ症候群が増加していることが分かります。)







私見)
 最近、本院でもクループ症候群の小児が来院しています。皆さん軽症で、通常の治療で軽快
 しています。外来では、幸いにコロナ検査の陽性率が低下しています。
 新型コロナもエンデミックの領域に入ったのでしょうか?






2 コロナ クループ.pdf










posted by 斎賀一 at 16:17| 小児科

オミクロン株でクループ症候群の可能性 その1

オミクロン株でクループ症候群の可能性  その1

CROUP AS A PREVIOUSLY UNRECOGNIZED SYMPTOM
OF COVID-19 IN INFANTS



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 クループ症候群は、一般的には小児の上気道感染症の際に発症しますが、原因ウイルスは様々
です。(私の以前のブログを下記に掲載します。)
犬の遠吠えの様な咳のため、診察の前から本院の看護師がチェックしてくれています。
今までは、新型コロナでクループ症候群は発症していませんでした。
本院でもクループ症候群ではコロナの検査をスルーしていましたが、今回トルコからの症例報告
がありました。
元来健康な生後23か月の幼児が、突然の発熱、犬吠様咳嗽にて入院しました。
新型コロナのPCR検査で結果は陽性です。
ステロイド、ボスミン吸入などで、24時間後に軽快退院しています。







1 CROUP_.pdf

11 クループについて.pdf

12 クループ症候群にステロイドは有効.pdf











posted by 斎賀一 at 15:46| 小児科