80歳以上の高齢者における抗凝固薬・リクシアナ15mg
Effect of 15-mg Edoxaban on Clinical Outcomes in 3 Age Strata
in Older Patients With Atrial Fibrillation
心房細動における脳梗塞予防のために経口抗凝固薬(OAC)の使用は必須ですが、80歳以上の
高齢者にはその効果と出血のリスクに関して十分なデータがありません。
今回日本の研究者の論文が、雑誌JAMAより発表になっていますので簡単にブログします。
1) 2016年8月5日より2019年12月27日の期間です。
80歳以上を80〜84歳、85〜89歳、90歳以上の3つに層別化しています。
標準的なOACが適応外の80歳以上を対象に、低用量のリクシアナ15mgの服用群と
コントロール群を1対1にランダマイズ化し比較しています。
標準的適応外とは・腎機能のeGFRが30以下 ・45kg以下の低体重
・主要臓器の出血の既往歴 ・鎮痛解熱剤服用 ・抗血小板薬服用です。
2) 主要転帰は、脳梗塞及び全身性の血栓症です。副反応の主要転帰は重大な出血です。
3) 結果はグラフにて表示します。
(本研究の登録者は標準のOACが適応されない高齢者のため、その高齢者では当然ながら出血性
疾患も頻度として高くなります。Supplementにコントロール群での主要転帰を含めた危険率の
表がありますので下記に掲載します。
4) 以前のRE-LY研究ではダビガトランとワーファリンの比較研究のため逆説的な結果
が出ていますが、これは高齢者でも危険因子のない人が含まれていた事と、ワーファリン
の抑制効果が不十分であったかもしれません。
しかし本研究では標準的適応のない80歳以上高齢者で年齢の層別化に関係なく、少量
リクシアナ15mgは脳梗塞の予防効果を認めていました。
私見)
OACの標準的適応外の80歳以上の高齢者では、リクシアナ15mgも適応と考えます。
本論文の素晴らしい点は高齢者に優しい眼差しです。
高齢者の私にとっても優しい医療を受ける感謝を最近実感しています。
高齢者 DOAC.pdf