2022年04月15日

心不全ガイドライン・2022AHA/ACC

心不全ガイドライン・2022AHA/ACC

2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure



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 2022年版の心不全ガイドラインがAHAより発表になっています。
本院の身の丈に合った内容をブログします。(勧奨の強さは1,2a,2b,の順です。下記のPDFを
ご参照ください。)


1) 心不全のタイプを示しています。新たなタイプの提唱として、HFimpEFは改善傾向を
   意味しますが、継続治療が必要です。
   HFmrEFは改善傾向か悪化傾向かを見極めることが大事です。
   HFpEFは基礎にある高血圧、心房細動、糖尿病、心アミロイドーシスの治療が優先される
   べきです。



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2) 心不全の診断と層別化に、BNP又はNT-proBNPを使用する事は有益です。
   ただし、除外診断に有効ですが rule out、rule inには注意が必要です。



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          (勧奨として有益性は1,2a,2b,の順です。)




3) 体液負荷(fluid retension,本院では主としてIVCD下大静脈拡張)が認められる
   とき、利尿薬は有効。ループ利尿薬さらにはサイアザイド系の追加もあり。
   うっ血性心不全の既往がある患者さんは、改善していても再発の危険があるので、利尿薬
   の維持療法を継続すべきです。
   MRAsは別として、利尿薬が生命予後に有効かは不明です。
   よって利尿薬の単独処方は避けるべきで、他の薬剤との併用が基本です。
   低ナトリウム血症が改善しない場合は、サムスカの使用を検討します。
  


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   一般的にはラシックスですが、反応がないときはルネトロン又はルプラックが有効。
   (慢性の場合は、作用時間の長いルプラックかダイアートへの変更を考えます。)
   尿量が増加するまで、または体重が0.5〜1.0Kg減少までループ利尿薬を増量してもよい。
   治療抵抗性の場合は筋注、経静脈を試みる。サイアザイド系の併用も有効だが電解質、
   腎機能のモニタリングが大事。
   (症状改善の基本は今も昔も利尿薬でしょうか。)



4) HFrEF(駆出率40以下)の治療


   ・<ACE阻害薬、ARB、ARNIが選択薬>



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  初期導入として漸増することなく、novoとして直接ARNI導入を勧めています。
  ARNIは症状の軽快を促しBNPの改善、入院率の低下につながるが、低血圧、血管浮腫に
  注意が必要。(メーカーのパンフレットを下記に掲載)
  またACE阻害薬からARNIへの変更は、少なくとも36時間が必要。
  現段階では、心房細動、心筋梗塞後、肺うっ血、糖尿病にARNIが優れているかは不明です。
  ただし、安定しているHFrEFでは、ARBからARNIへの変更を勧めます。



  ・<βブロッカーも有効です>



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  症状が改善しなくても、全てのHFrEF患者に継続することを勧めます。



  ・<MRAsも有効>


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  ただし、腎機能eGFRが30以上で血清カリウムが5.0以下にコントロールされている
  場合です。
  ARBとの併用ならば、寧ろARNIとの併用が勧められる。
  下痢などがあれば、利尿薬との併用は注意が必要。



  ・<さて主役のSGLT-2阻害薬>
  
  既にブログでも紹介しましたが、糖尿病でなくてもSGLT-2阻害薬は心不全の第一選択薬
  です。



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  心不全の既往に関係なく、SGLT-2阻害薬は心不全の入院率を31%減少させます。
  適応外は腎機能eGFRが30以下、又は血圧100以下が文献的に一般論のようです。



  ・<isosorbide dinitrate>


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  ・<その他>


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  降圧薬のCCBは心不全には中立、つまり効果も害もありません。
  しかし、ヘルベッサーとワソランは心機能にとって有害との見解です。
  糖尿病治療薬のアクトス、DDP-4阻害薬、さらに解熱鎮痛薬NSAIDsも避けるべきとして
  います。


  ・<コララン>
  心不全が安定して駆出率35%以上、不整脈がない、脈拍が70以上の場合には、コララン
  は心不全の入院率を低下させる。


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  ・<ジギタリス製剤>
  入院率を低下させる。エビデンス2bです。


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5) Mildly Reduced EF (HFmrEF) and Improved EF (HFimpHF)
   (駆出率41〜49%)
   基本的にはHFrEFと同じ治療となりますが、漸増と漸減の方針です。


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   上の図から分かりますが、SGLT-2阻害薬が2aです。
   つまりSGLT-2阻害薬が第一選択となります。ARNI,ARB,ACEi,MRAsは2bで第二選択肢
   でしょうか。心不全の症状が軽快したとしても根本的な治癒ではないので、治療の継続が
   大事です。


6) HFpEF(駆出率50%以上)
   HFpEFの原因は高血圧、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病、肥満、心アミロイドーシス
   など多岐にわたります。
   近年までいろいろなスタディで、残念ながら十分な効果が得られていません。
   現段階では利尿薬が症状の軽減に貢献しています。
  


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  基本的には血圧の管理です。心房細動が存在するなら、リズムコントロール及びレート
  コントロールを先ず優先すべきです。
  SGLT-2iがエビデンスでは2aです。次にARNI,ARB,ACEiと続きます。
  負荷の軽減目的のフランドルテープなどは効果がないようです。


7) その他の注意事項

   心房細動に関して



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私見)
 心不全の役者が多くなり、実地医家にとってありがたいことですが、かえって私としては
 ステレオタイプで混沌としています。
 今回のガイドラインはなにやらスッキリとした感じです。
 次回は利尿薬について再考します。







1 心不全 ガイドライン2022 AHA_.pdf

2 ApplyClassOf RecommendationAndLevelOfEvidence.pdf

3 エンレストレジスタードマーク錠 はじめてガイド .pdf

4 エンレストレジスタードマーク錠 はじめてガイド 高血圧.pdf

ARNIを中心とした心不全治療の再考.pdf

心不全に対するSGLT2阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬.pdf

慢性腎疾患における高血圧治療.pdf

利尿薬 (2).pdf












posted by 斎賀一 at 22:10| 循環器