小児及び青年のオミクロン株に対するワクチン効果
BNT162b2 Protection against the Omicron Variant in Children and Adolescents
[This article was published on March 30,2022, at NEJM.org]
[This article was published on March 30,2022, at NEJM.org]
雑誌NEJMに入院した小児・青年のファイザーワクチン効果を調べた論文が掲載されています。
以前はニューヨークからの青少年におけるワクチン効果を中和抗体、感染率、入院率を含めて
報告があり、私のブログでも紹介しましたが、今回はアメリカの23州での入院を対象にしての
調査です。
1) 2021年6月1日から2022年2月17日までの調査です。
12歳から18歳はデルタ株とオミクロン株が重なっていますが、5歳から11歳はオミクロン
株のみです。またワクチンはファイザー社が主体で、12歳から18歳は基本的に2回接種で
3回目のブスター接種は除外していますが、5歳から11歳は多くが1回接種です。
2) 1,185例が入院していますが、1,043人(88%)が非ワクチン群です。
この同じ時期に入院し、コロナ検査で陰性のコントロール群が1,627人です。
入院例は生命維持装置の使用も調べています。
3) 12歳から18歳の重症例の青年249人中232人は、ワクチン非接種です。
ワクチン接種により40%の入院率の減少ですが、重症例は79%低下です。
ブスター接種の効果も例数が少ないのですが、効果ありとしています。
5歳から11歳のコロナ入院267人中重症例は42人(16%)で、ワクチン非接種は38人
(90%)で、ワクチン接種によるオミクロン株に対する入院率は68%減少です。
(上の図は全体としてのデータです。)
(例えば、インフルエンザ死亡率を調べるときに、例年の死亡率からどのくらいインフル
エンザ流行時に死亡率が増加したかで調べますが、上の図はワクチンを接種しているが
コロナ以外で入院した人と比較して、ワクチン効果を統計処置して調べています。)
(同様の手法で重症入院例を対象に、ワクチン効果を調べています。)
4) 考察
デルタ株からオミクロン株に移行して、ワクチンによる抗体価の減少も考えられますが、
オミクロン株の免疫機能の回避が主体と想定されます。
しかし、12歳から18歳及び5歳から11歳ともに、入院率の低下と重症例の阻止を認めて
いることから、ワクチンによる細胞免疫の効果も考えられます。
5) 5歳から11歳においても、3人中2人はワクチンにより入院を阻止しています。
私見)
5〜18歳の若い人のワクチンを勧める論文です。
本院でも軽症と言えども、最近では小児の新型コロナが主体です。
5〜11歳のワクチン接種が進んでいません。保護者の方に再考をお願いします。