血圧の強化療法は脳循環にとっても良好
Association of Intensive vs Standard BloodPressure Control
With Cerebral Blood Flow Secondary Analysis of
the SPRINT MIND Randomized Clinical Trial
With Cerebral Blood Flow Secondary Analysis of
the SPRINT MIND Randomized Clinical Trial
<短 報>
血圧を下げ過ぎると脳循環の低下が起きて、めまいを誘発するのではと心配されます。
特に脳血流自己調節能の観点からは、高血圧の患者さんにおいては血圧低下の変動を受け
やすいと言われており、懸念されています。
しかし、今回雑誌JAMAよりSPRINT研究(以前のブログ参照)のサブ解析が掲載されて、
血圧の強化療法(厳格管理)の方が標準療法よりも脳循環に優れているとの報告がありました。
1) SPRINT研究のサブ解析として、50歳以上の高血圧患者1,267名が対象です。
10年リスクを有している患者ですが、糖尿病と認知症のある人は除外しています。
547名がMRI解析をして登録しています。
研究は2010年〜2016年で行い、2020年〜2021年にかけて解析をしています。
4年間の経過観察
強化療法は、目標血圧が120以下、標準療法は140以下です。
2) MRI検査により基準値から全脳の血液循環量(CBF)の変化を主要転帰としています。
二次転帰として、灰白質、白質、血管周囲の白質の血流量としています。
3) 結果
547名の平均年齢は67.5歳。40.0%が女性。315名が完全にMRIの経過観察を終了して
います。
全脳の血液循環量(CBF)は強化療法で、38.90から40.36/mL/100g/minと上昇して
いますが、標準療法では37.96から37.12と変化していません。
この結果は灰白質、白質、血管周囲の白質でも同じでした。
更に年齢、性差、人種、慢性腎臓病の有無、フレイルにも関係なく同様の結果です。
また、心血管疾患の既往のある人でもこの傾向でした。
私見)
本論文はSPRINT研究の延長線上にあります。
当然ながら強化療法(積極的治療)を支持しています。
本院でも目標血圧は120以下ですが、当然ながら基本姿勢はテイラーメイド治療となります。
本ブログの中から、SPRINT研究の幾つかを下記に掲載してみました。
1 本論文.pdf
2 脳血流自己調節能について考察.pdf
3 降圧目標は120以下か.pdf
血圧の強化療法.pdf
厳格降圧療法.pdf
高齢者.pdf