2022年04月09日

ペットから飼い主への細菌感染

ペットから飼い主への細菌感染

Both antibiotic resistant bacteria and genes transmitted between healthy dogs
and cats and their owners, finds study in UK and Portugal



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 リスボンで開催されたヨーロッパの細菌学会で、ペットから人への感染の危険性が報告されて
います。


1) ペットと飼い主の間で治療抵抗性の細菌ばかりでなく、その耐性関連の遺伝情報も伝搬
   する危険性があるとしています。

2) 大腸菌は、ペットでも人でもその多くが無害で、病原性がない。
   しかし時に重篤な食中毒を起こし、生命を脅かす感染症ともなる。
   しかも耐性大腸菌は、ペニシリンやセフェム系に対しての耐性が進んでいる。

3) 本研究の開始される3か月前まではペットも飼い主も感染症の既往がなく、抗生剤の服用も
   ない条件でスタートしています。
   ポルトガルでは41家族から58人の健康者、18匹の猫、40匹の糞便を採取しています。
   英国では42家族から56人の健康者、45匹の犬からの糞便のサンプルです。
   サンプルは1か月ごとに4か月間続けています。

4) 83家族の中でポルトガルでの2家族のみに、セフェム系の耐性大腸菌が共有されて
   いました。2.4%です。
   しかし、全体として15匹のペットと15人の人間にESBLを認めています。



  【ESBLを産生する菌は、現在我が国で細菌感染症の治療のために広く使われている抗生物質
   である第三世代セファロスポリン薬(セフォタックスレジスタードマーク、クラフォランレジスタードマーク、モダシンレジスタードマーク
   ロセフィンレジスタードマーク)などに耐性を示します。
   ESBLを産生する菌種としては、肺炎桿菌や大腸菌が主ですが、セラチア、エンテロ
   バクター、その他腸内細菌系の菌種の中にも見出されることがあります。
   これらESBL産生菌は腸管内に保菌され、院内感染における集団発生の原因菌となります。
   院内感染は、集中治療室で発生することが多く、重篤な基礎疾患や手術後などで身体の
   抵抗力が低下している人に敗血症、髄膜炎、肺炎、創部感染症、尿路感染症などを引き
   起こすことがあります。
   ESBL産生菌は通常、セファマイシンやカルバペネム薬(チェナムレジスタードマーク、カルベニンレジスタードマーク
   など)に感受性を示すため、これらの薬剤は有効です。したがって、早期にESBL産生菌で
   あることを見出して、適切な抗菌薬を用いることが重要です。】
                                 (以上ネットより)

5) 本研究は症例が少なく限定的な結論だが、多剤耐性菌の相互の伝搬に注意が必要として
   います。






私見)
  私の娘よ。もし私のブログを見る機会があったら、いつでも血便の出ているムーちゃんを
  老夫婦で預かりますよ...。







ペット 感染症Both antibiotic resistant bacteria and genes _ EurekAlert!.pdf










posted by 斎賀一 at 17:55| その他

2022年04月07日

HPV・子宮頸がんワクチン

HPV・子宮頸がんワクチン





 本年4月から子宮頸がんワクチンが再開されます。
小学校6年〜高校1年相当の女子は、予防接種法に基づく定期接種として、
公費によりHPVワクチンを接種することができます。現在、公費で受けられる
HPVワクチンは2種類(サーバリックス、ガーダシル)あります。間隔をあけて、
同じ種類のワクチンを合計3回接種します。シルガードは承認されていますが、自費となります。


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本院では以前通り、4価のガーダシルを予定していますが、9価のシルガード9も
定期接種になる予定との事で、接種を受ける方の希望でガーダシルか、
時期を待ってシルガード9にするかを決めたいと思っています。
また、キャッチアップ接種に関しては、平成9年度生まれ〜平成17年度生まれ
(誕生日が1997年4月2日〜2006年4月1日)の女性の中で、定期接種の対象年齢
(小学校6年から高校1年相当)の間に接種を逃した方には、あらためて公費での
接種の機会を3年間提供されています。


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厚労省の資料、以前の私のブログ及び文献より抜粋したPDFを下記に掲載します。


文献
 小児科 2021年6月号 小児科医のためのHPVワクチン 
 その他より




1 文献より.pdf

2 ブログより.pdf

3 パンフレット.pdf

4 HPVワクチンに関するQ&A|厚生労働省.pdf

5 キャッチアップ 厚労省.pdf

6 ガーダシル.pdf












posted by 斎賀一 at 08:43| ワクチン

2022年04月04日

小児及び青年のオミクロン株に対するワクチン効果

小児及び青年のオミクロン株に対するワクチン効果

BNT162b2 Protection against the Omicron Variant in Children and Adolescents
[This article was published on March 30,2022, at NEJM.org]



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 雑誌NEJMに入院した小児・青年のファイザーワクチン効果を調べた論文が掲載されています。

以前はニューヨークからの青少年におけるワクチン効果を中和抗体、感染率、入院率を含めて
報告があり、私のブログでも紹介しましたが、今回はアメリカの23州での入院を対象にしての
調査です。


1) 2021年6月1日から2022年2月17日までの調査です。
   12歳から18歳はデルタ株とオミクロン株が重なっていますが、5歳から11歳はオミクロン
   株のみです。またワクチンはファイザー社が主体で、12歳から18歳は基本的に2回接種で
   3回目のブスター接種は除外していますが、5歳から11歳は多くが1回接種です。




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2) 1,185例が入院していますが、1,043人(88%)が非ワクチン群です。
   この同じ時期に入院し、コロナ検査で陰性のコントロール群が1,627人です。
   入院例は生命維持装置の使用も調べています。

3) 12歳から18歳の重症例の青年249人中232人は、ワクチン非接種です。
   ワクチン接種により40%の入院率の減少ですが、重症例は79%低下です。
   ブスター接種の効果も例数が少ないのですが、効果ありとしています。
   5歳から11歳のコロナ入院267人中重症例は42人(16%)で、ワクチン非接種は38人
   (90%)で、ワクチン接種によるオミクロン株に対する入院率は68%減少です。




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             (上の図は全体としてのデータです。)





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  (例えば、インフルエンザ死亡率を調べるときに、例年の死亡率からどのくらいインフル
   エンザ流行時に死亡率が増加したかで調べますが、上の図はワクチンを接種しているが
   コロナ以外で入院した人と比較して、ワクチン効果を統計処置して調べています。)





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       (同様の手法で重症入院例を対象に、ワクチン効果を調べています。)






4) 考察
   デルタ株からオミクロン株に移行して、ワクチンによる抗体価の減少も考えられますが、
   オミクロン株の免疫機能の回避が主体と想定されます。
   しかし、12歳から18歳及び5歳から11歳ともに、入院率の低下と重症例の阻止を認めて
   いることから、ワクチンによる細胞免疫の効果も考えられます。

5) 5歳から11歳においても、3人中2人はワクチンにより入院を阻止しています。







私見)
 5〜18歳の若い人のワクチンを勧める論文です。
 本院でも軽症と言えども、最近では小児の新型コロナが主体です。
 5〜11歳のワクチン接種が進んでいません。保護者の方に再考をお願いします。











posted by 斎賀一 at 20:57| 感染症・衛生