2022年04月16日

心不全治療薬としての利尿薬・ループ利尿薬 ラシックス、ルプラック、ダイアート

心不全治療薬としての利尿薬・ループ利尿薬
ラシックス、ルプラック、ダイアート

<院内勉強会>

蔵書より紐解いてみました。


1) ラシックスは高血圧にも保険適用があり、腎機能を悪化させず大量投与もできる。
   ルプラックは利尿作用が強力で、抗アルドステロン作用もあり低カリウム血症を起こし
   にくい。
   ダイアートは作用が安定して作用時間も長く、交感神経・レニン−アンジオテンシン系の
   反動が少ないため、心不全の予後もよい。



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2) ラシックス
   静注のワンショットで20mgを投与 (回数や量に上限はない。)
   経口は20mgからで上限はない。 日に分1〜2
   副作用として低カリウム血症、低ナトリウム血症、高尿酸血症、サルコペニア、
   急性肺水腫以外は漸増が一般的。
   高尿酸血症が8以上では注意が必要。



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3) ルプラック
   作用時間が6〜8時間と、ゆっくり作用する点がメリット
   ラシックスが効果ない場合に変更すると、効果が出ることがある。
   経口での吸収は100%のため、ラシックスでは腸管浮腫で吸収が悪い場合も有効である。
   利尿の慌ただしさや低カリウム血症が気になるときに、ラシックスから変更する。
   


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4) ダイアート
   作用発現は1時間で、持続時間は12時間と長い。
   ラシックスでは午前中に排尿が多くなるが、ダイアートはマイルドでゆったりと効いて
   くる。
   急性期にはラシックスで、安定してきたらダイアートに変更もあり。



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5)まとめ
  以前の私のブログでNEJMの総説を掲載しましたが、再度目を通してください。



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◆参考文献

 ・薬の比較と使い分け   羊土社
 ・循環器治療薬ファイル  メテ有力ル・サイエンス・インターナショナル
 ・循環器診療をスッキリまとめました   南江堂
 その他文献より (ごめんなさい)






利尿薬 文献より.pdf

利尿薬 ブログより.pdf











posted by 斎賀一 at 17:08| 循環器

2022年04月15日

心不全ガイドライン・2022AHA/ACC

心不全ガイドライン・2022AHA/ACC

2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure



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 2022年版の心不全ガイドラインがAHAより発表になっています。
本院の身の丈に合った内容をブログします。(勧奨の強さは1,2a,2b,の順です。下記のPDFを
ご参照ください。)


1) 心不全のタイプを示しています。新たなタイプの提唱として、HFimpEFは改善傾向を
   意味しますが、継続治療が必要です。
   HFmrEFは改善傾向か悪化傾向かを見極めることが大事です。
   HFpEFは基礎にある高血圧、心房細動、糖尿病、心アミロイドーシスの治療が優先される
   べきです。



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2) 心不全の診断と層別化に、BNP又はNT-proBNPを使用する事は有益です。
   ただし、除外診断に有効ですが rule out、rule inには注意が必要です。



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          (勧奨として有益性は1,2a,2b,の順です。)




3) 体液負荷(fluid retension,本院では主としてIVCD下大静脈拡張)が認められる
   とき、利尿薬は有効。ループ利尿薬さらにはサイアザイド系の追加もあり。
   うっ血性心不全の既往がある患者さんは、改善していても再発の危険があるので、利尿薬
   の維持療法を継続すべきです。
   MRAsは別として、利尿薬が生命予後に有効かは不明です。
   よって利尿薬の単独処方は避けるべきで、他の薬剤との併用が基本です。
   低ナトリウム血症が改善しない場合は、サムスカの使用を検討します。
  


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   一般的にはラシックスですが、反応がないときはルネトロン又はルプラックが有効。
   (慢性の場合は、作用時間の長いルプラックかダイアートへの変更を考えます。)
   尿量が増加するまで、または体重が0.5〜1.0Kg減少までループ利尿薬を増量してもよい。
   治療抵抗性の場合は筋注、経静脈を試みる。サイアザイド系の併用も有効だが電解質、
   腎機能のモニタリングが大事。
   (症状改善の基本は今も昔も利尿薬でしょうか。)



4) HFrEF(駆出率40以下)の治療


   ・<ACE阻害薬、ARB、ARNIが選択薬>



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  初期導入として漸増することなく、novoとして直接ARNI導入を勧めています。
  ARNIは症状の軽快を促しBNPの改善、入院率の低下につながるが、低血圧、血管浮腫に
  注意が必要。(メーカーのパンフレットを下記に掲載)
  またACE阻害薬からARNIへの変更は、少なくとも36時間が必要。
  現段階では、心房細動、心筋梗塞後、肺うっ血、糖尿病にARNIが優れているかは不明です。
  ただし、安定しているHFrEFでは、ARBからARNIへの変更を勧めます。



  ・<βブロッカーも有効です>



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  症状が改善しなくても、全てのHFrEF患者に継続することを勧めます。



  ・<MRAsも有効>


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  ただし、腎機能eGFRが30以上で血清カリウムが5.0以下にコントロールされている
  場合です。
  ARBとの併用ならば、寧ろARNIとの併用が勧められる。
  下痢などがあれば、利尿薬との併用は注意が必要。



  ・<さて主役のSGLT-2阻害薬>
  
  既にブログでも紹介しましたが、糖尿病でなくてもSGLT-2阻害薬は心不全の第一選択薬
  です。



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  心不全の既往に関係なく、SGLT-2阻害薬は心不全の入院率を31%減少させます。
  適応外は腎機能eGFRが30以下、又は血圧100以下が文献的に一般論のようです。



  ・<isosorbide dinitrate>


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  ・<その他>


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  降圧薬のCCBは心不全には中立、つまり効果も害もありません。
  しかし、ヘルベッサーとワソランは心機能にとって有害との見解です。
  糖尿病治療薬のアクトス、DDP-4阻害薬、さらに解熱鎮痛薬NSAIDsも避けるべきとして
  います。


  ・<コララン>
  心不全が安定して駆出率35%以上、不整脈がない、脈拍が70以上の場合には、コララン
  は心不全の入院率を低下させる。


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  ・<ジギタリス製剤>
  入院率を低下させる。エビデンス2bです。


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5) Mildly Reduced EF (HFmrEF) and Improved EF (HFimpHF)
   (駆出率41〜49%)
   基本的にはHFrEFと同じ治療となりますが、漸増と漸減の方針です。


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   上の図から分かりますが、SGLT-2阻害薬が2aです。
   つまりSGLT-2阻害薬が第一選択となります。ARNI,ARB,ACEi,MRAsは2bで第二選択肢
   でしょうか。心不全の症状が軽快したとしても根本的な治癒ではないので、治療の継続が
   大事です。


6) HFpEF(駆出率50%以上)
   HFpEFの原因は高血圧、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病、肥満、心アミロイドーシス
   など多岐にわたります。
   近年までいろいろなスタディで、残念ながら十分な効果が得られていません。
   現段階では利尿薬が症状の軽減に貢献しています。
  


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  基本的には血圧の管理です。心房細動が存在するなら、リズムコントロール及びレート
  コントロールを先ず優先すべきです。
  SGLT-2iがエビデンスでは2aです。次にARNI,ARB,ACEiと続きます。
  負荷の軽減目的のフランドルテープなどは効果がないようです。


7) その他の注意事項

   心房細動に関して



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私見)
 心不全の役者が多くなり、実地医家にとってありがたいことですが、かえって私としては
 ステレオタイプで混沌としています。
 今回のガイドラインはなにやらスッキリとした感じです。
 次回は利尿薬について再考します。







1 心不全 ガイドライン2022 AHA_.pdf

2 ApplyClassOf RecommendationAndLevelOfEvidence.pdf

3 エンレストレジスタードマーク錠 はじめてガイド .pdf

4 エンレストレジスタードマーク錠 はじめてガイド 高血圧.pdf

ARNIを中心とした心不全治療の再考.pdf

心不全に対するSGLT2阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬.pdf

慢性腎疾患における高血圧治療.pdf

利尿薬 (2).pdf












posted by 斎賀一 at 22:10| 循環器

2022年04月11日

新型コロナワクチンの混合接種はミックス&マッチ

新型コロナワクチンの混合接種はミックス&マッチ

短 報

mRNA-1273 and BNT162b2 COVID-19 vaccines elicit antibodies
with differences in Fc-mediated effector functions



 
 医療ネットのMedPageTodayに、新型コロナワクチンのブスター接種の場合に混合接種が
免疫機能に有効に作用するとの文献解説が載っていました。
本来ならフル文献を読解してブログしたいのですが、余りにも専門的過ぎるのでネット情報
のみにてブログします。


1) モデルナワクチンは、免疫のIgAを賦活化して粘膜免疫を亢進させる。
   ファイザーワクチンは、機能的にIgGの応答に作用する。

2) 混合接種により新型コロナウイルスの抗原の認識を僅かに違えることにより、免疫機能の
   全体の性質とレベルを改善する。

3) ブスター接種を同種にするためにワクチン接種が遅れることは間違いで、混合接種でも
   早めに接種する事が大事です。





私見)
 本院でのブスター接種に患者の皆様が協力して下さって、職員一同感謝しております。 
 4回目の接種も混合接種を視野に入れ、十分に検討して参ります。






混合接種.pdf














posted by 斎賀一 at 21:07| 感染症・衛生