2022年04月27日

SGLT-2阻害薬と心不全

SGLT-2阻害薬と心不全



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 以前、私のブログで紹介しました心不全のガイドラインでも記載されていますが、糖尿病の
有無にかかわらず、SGLT-2阻害薬は心不全に有効です。

今回の論文では、それを追認する形でさらに心機能の駆出率がある程度保たれているHFpEFに
おいても、その効果がありとする内容です。


1) 駆出率が低下している心不全HFrEFの場合は、
   15.4%が11.1%に減少。
   NNTつまり23人処方で1人助かる結果です。
   駆出率が保たれている心不全HFpEFの場合は、
   11.6%が8.6%に減少。
   NTTは33でした。
   観察期間は2年間です。

2) SGLT-2阻害薬の副作用として懸念されているケトアシドーシスと下肢切断の危険は、
   今回のスタディでは以前の報告とほぼ同じ危険率でした。





私見)
 心不全に効果ありの結果から、イケイケドンドンの気持ちになりますが、代謝、血行動態の
 チェックは更に重要です。








3 sglt 心不全..pdf











posted by 斎賀一 at 18:08| 循環器

2022年04月26日

糖尿病治療薬GLP-1作動薬と胆嚢疾患

糖尿病治療薬GLP-1作動薬と胆嚢疾患



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 糖尿病治療薬としてGLT-1作動薬は、経口薬並びに注射薬ともにガイドラインの中核を
成しています。
今回雑誌JAMAに、本薬剤が胆嚢疾患を誘発する可能性を示唆した論文が載っています。


1) GLP-1作動薬はcholecystokininの分泌抑制の作用があり、そのために胆嚢系の運動
   が低下します。

2) 76のランダマイズ化された論文のメタ解析です。
   103,00人、平均年齢58歳の登録です。
   60文献が糖尿病関連で、13文献は肥満関連、3文献は他の文献です。

3) GLP-1作動薬により、胆道系疾患が37%の増加でした。
   1年間で10,000人あたり、27例の発生となります。
   内訳を見ますと、胆石27%、胆管結石36%、胆道疾患55%、胆嚢摘出70%でした。
   増悪因子としては、GLP-1作動薬の大量、長期の処方が挙げられます。

4) 絶対的危険率はかなり少ないのですが、長期で大量処方の場合には注意が必要です。







私見)
 糖尿病の治療となりますから長期処方は仕方がありませんが、少量かつ漸増を旨として
 参ります。








2 jama.pdf










posted by 斎賀一 at 18:16| 糖尿病

2022年04月25日

4回目の接種・イスラエルからの2つの報告

4回目の接種・イスラエルからの2つの報告



 Journal watchからの提言がありました。
前回の2回、私のブログで紹介しましたretrospectiveな論文の概要と論説が載っています。

Baronの論文では、4〜8週では新型コロナ感染は3回目と比べて4回接種により2.0~1.1倍
の低下、つまりmildな効果がありましたが、4〜6週では重症化を3.5~4.3低下させています。

Magenの論文では、4回接種により7~30日の経過観察期間で新型コロナ感染を45%低下、
有感染を55%低下、コロナ関連入院を68%低下、重症化を62%低下、コロナ関連の死亡を
74%低下と報告しています。
2つの論文からは、マイルドで短期的ではありますが、4回接種の有効性を示しています。
多分、かなりの効果があるものと推測されます。
問題点としては、両論文ともランダマイズ化されていない点と、登録者は以下の因子の相違を
考慮されていません。
・マスクの着用 ・三密を避ける ・コロナ関連の治療の有無
今後の課題としては、何回も接種する場合のストラテジーの構築が大事です。
また4回接種にも関わらず、重症化する人が存在する点を調べる必要があります。






私見)
 4回目の接種は高齢者の重症化を防ぐ意味合いから、政府の方針通り60歳以上と医療
 従事者の限定的でしょうか?









posted by 斎賀一 at 19:47| ワクチン